アドフラウド(Ad Fraud/広告不正)とは?アドフラウド問題に切り込む、Momentum株式会社
アドフラウド(Ad Fraud)とは、Botなどの機械によって、広告の表示回数・クリック数が計上されてしまう問題です。今回、日本のアドフラウド(Ad Fraud)問題に取り組んでいる、Momentum(モメンタム)株式会社の代表にお話をお聞きしました。
日本のBotの種類は、何らかの不正目的でトラフィックをたくさん生み出すためのBotというものが多いとのこと。結果として広告インプレッションも無駄に生み出してしまっているため、このような無駄な場所への広告出稿を回避することで、広告パフォーマンスは確実に改善されます。
アドフラウド(Ad Fraud)問題について対談
今回は、米国でも議論となっている”アドフラウド(Ad Fraud)問題”に日本発で取り組んでいる、Momentum(モメンタム)株式会社の代表大久保さんにお話を伺いました。
Momentum株式会社 代表取締役 大久保 遼さん
アドフラウド(Ad Fraud)問題の米国と日本での違いや、日本企業での調査データなど、最新な情報を含め、アド論byGMO 編集長の谷本と対談していただきました。
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創業のきっかけとは?
アド論:
最初にMomentum株式会社の事業・サービス概要を教えて下さい。
大久保:
Momentum株式会社の創業は、2014年9月になります。
最初は、企業のブランド価値を守る(ブランドセーフティー)広告配信技術のアドベリフィケーションから始まり、現在では、広告不正を検知、除外配信を行なうアドフラウド(Ad Fraud)対策のサービスも行なっております。
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アドフラウド(Ad Fraud) 日本と米国の違いとは?
アド論:
先日5月に開催された、ad:techサンフランシスコに参加してきまして、そのカンファレンスを通して、一番議論されていたのは、このアドフラウド(Ad Fraud)問題でした。米国では、デジタル広告費の約11%がフラウドによるものとも言われておりました。また、被害規模は60億ドル以上あるといわれ、これは由々しき事態だなと感じました。
新たな指標定義として、「Cost Per Human」という新たなKPIの提唱もあり、Non Human Traffic(NHT)を検知し、無効カウントにする動きについて、非常に議論が活発に行われておりましたが、このアドフラウド(Ad Fraud)について、日本と米国の違いではどのようなものでしょうか?
大久保:
今回当社がリリースしました、アドフラウド(Ad Fraud)対策サービス”Blackheron”は、海外向けにもプレス発信しましたところ、米国の企業から直ぐにディスカッションさせて欲しいと連絡がありました。やはり米国で今注目が高まっているということを実感します。
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アドフラウド(Ad Fraud) 日本での特徴とは?
アド論:
eMarketerの調査によると、Bad Botの開発元の52%が米国であるという調査データが出ており、不正のためのBotが横行しているようです。この辺の日米の状況はどう捉えますか?
大久保:
少なからず日本市場もBad Botの対象となっているとは言えると思います。
ただ、Botという手段のフラウドの横行は、アメリカほどではないというのが、当社で調査した上での見解です。
アド論:
フラウドの手法にはいくつか種類があるのでしょうか?
大久保:
一口にアドフラウド(Ad Fraud)と言っても、ディスプレイ広告なのか、動画広告なのかといった広告の種類によって規模や割合が違います。
またアフィリエイト領域では、コンバージョンでのフラウドが多くなる傾向はあります。
弊社は現在、ディスプレイ広告の領域において、インプレッションやクリックのフラウドを精査することにより広告のコンバージョン率を上げていくというアプローチで取り組んでおります。また、動画広告においてもディスプレイ広告の対策が、ある程度転用出来ると考えています。
アフィリエイトでのフラウド問題というのは、今後、もっと取り組んで行きたいと思っております。
アド論:
日本の特徴的なフラウドというのはどういうものなのでしょうか?
大久保:
米国のフラウドの特徴としては、コンピュータアルゴリズムで機械的に悪さを行なうフラウドが多いです。
日本はフラウドを起こす側もそこまで自動化技術を取り入れている訳ではなく、例えばPVを買ってくるアクセスアップサービスですとか、スパムコンテンツをたくさん生成してトラフィックを稼ぎ、ブログのランキングをあげるといった人手も絡むフラウドが多いです。
また日本のBad Botの種類は直接広告収益自体を狙ったBotではなく、何らかの不正目的でトラフィックをたくさん生み出すためのBotというものが多いです。結果として広告インプレッションも無駄に生み出してしまっているという感じです。
アド論:
そのトラフィックを生み出す目的は何ですか?
大久保:
おそらく主な目的としては、直接の広告収益より、様々な目的のためにトラフィックを生み出す意味合いが強いと考えております。広告はそのメディアに付いている2次的なものです。
もうひとつの特徴としては、ポイント付与サイト・懸賞サイト・ゲーム内広告などがあります。もちろん、そこからユーザーのコンバージョン(獲得)に至る可能性はゼロではないのですが、ユーザー側からするとポイントを獲得するためのゲームのプレイ最中にわざわざコンバージョンする可能性は限りなく低いと考えております。
そのような場所への広告出稿を回避することで、広告パフォーマンスは確実に改善されます。

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ライター:アド論 編集部