NETFLIX vs 北海道の小さな書店 ~究極のパーソナル化とは何か?を考える~

2019/4/23

次にNETFLIXとは対照的な形でパーソナル化したサービスを提供している書店の例を紹介します。
 
北海道・砂川市の「いわた書店」では『カルテ』と呼ばれるアンケートにもとづいて、店主が読み手に合わせたオススメの本を一万円分提案してくれる取り組みを行っています。NHK「プロフェッショナル」にも取り上げられ、現在3,000人待ちという状態とのこと。
 
(以下、NEWSポストセブン2016年4月17日記事より引用)
店主の岩田徹氏は2007年、客の人生観などを聞き取った上で1万円分の書籍を送る「1万円選書」を始めた。“カルテ”と呼ぶアンケート用紙には読書歴に加え、「人生で嬉しかったこと、苦しかったこと」「何歳の時の自分が好きか?」「これだけはしないと決めていることは?」「あなたにとって幸せとは?」などの質問が並ぶ。
岩田氏は“カルテ”を丹念に読み、時にはメールでやり取りを重ねた上で本を選び発送する。「親の指示通りに生きてきてしまった」と後悔を綴った30代の女性には、児童虐待をテーマにした『きみはいい子』を選んだ。回答と無関係に思えるが、意図がある。
「その気持ちのまま過ごすと、子供にも自分の考えを押しつけ、気付かないうちに手を上げてしまう。言葉で忠告するのではなく、本というオブラートに包むと伝わりやすくなるはず」(引用ここまで)
 
このいわた書店の取り組み、NETFLIXのレコメンドと決定的に違うのは店主の意思が強く介在していること。
ユーザのこれまでの人生や考え方を丹念に読み解き、考え抜いた末に薦める1冊は、その人に全く新しい価値観を与えるレコメンドといっても良いかもしれません。

最後に

今回紹介した2つの対照的なレコメンドサービス。
もちろん、どちらかが良くてどちらかが悪いというわけではありません。
前者が「その人がもともと好きなものに出会う確率を高めるサービス」だとしたら、後者は「その人にとって新しい価値、新しい世界に出会わせてくれるサービス」
 
ECの中でも、特に電子書籍や動画配信といったエンタメコンテンツを販売するサービスにとっては「どちらが必要か?」ではなく「どちらも必須」と考えるのが正解だと私は思っています。
 
そこに行けばいろいろな新しいワクワクを発見させてくれる、そんな素敵なお店が増えることを願いつつ今回はこの辺で。

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ライター:神津 洋幸


ストラテジックプランナー、リサーチャー。 Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。

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