最終レースは一番人気の馬を買え!(行動経済学とコミュニケーション①)

2018/10/19

日曜日の午後4時。
競馬場ではその日のメインレースが終わり、数十分後にはその週の最終レースが行われるという時間。
オッズ板に目を移すと、一番人気馬のオッズが想定していたよりも高くなっているということがよくあります。
これまでの成績や今回の相手関係を考えるとどう考えてもオッズは1倍台だろうな・・・と確認したら2倍を超えていてアレ?と思うこと、結構あるんですよね。
ではなぜそのような現象が頻繁に起こるのでしょうか?
理由はシンプル。その週の負けを取り戻すために人気薄の馬に賭ける人が増えるからです。
 
日曜日のメインレースが終わる頃、競馬ファンのほとんどは収支がマイナス状態。
論理的に考えれば一番人気の馬を買うのが収支を回復するには最も正しい選択なのに、最終レースでなんとか一発逆転したいと思ってしまうのですね。
なにも競馬は今日で終わるわけではない。無理に今日取り戻さなくても来週も再来週も競馬はあるということなんてすっかり忘れて。
そしてその結果、日曜の最終レースで一番人気の馬のオッズが想定より高くなる現象が起こるのです。
 
この現象にだれか名前をつけて欲しい・・・と思っていたら名前、ちゃんとありました。

その名前とは「メンタルアカウンティング」

メンタルアカウンティング(心の家計簿)とは行動経済学の理論のひとつで、人は金銭に関する意思決定をする時、無意識に小さな勘定項目を細かく設定することでその判断を単純化する、というものです。
先ほどの競馬の例でいうと、土日の馬券収支という限定した時間の中で小さな勘定項目を作り、その中でプラスマイナスを考えてしまうということ。
結果、最終レースで収支の帳尻を合わせようという心理が働き、(勝つ可能性が最も高い)一番人気の馬に賭けるという最も合理的な判断ができなくなってしまうのです。
 
では、競馬から離れた話をいくつか。
あなたは今、旅行先の京都でランチをとろうとしています。このときランチ1食に支払っても良いと思う金額は普段会社の近くの定食屋でランチをとるときに支払っても良いと思う金額を大きく上回っているはずです。
これは普段の日のランチと旅行先のランチを心の家計簿が別の勘定項目として認識しているためです。
 
もうひとつ。
あなたは念願のマイホームを購入しました。新居での新生活を始めるにあたり長年使用してきた電子レンジを買い換えようと思っています。このときの電子レンジの購入予算は、普段の生活の中で古くなり調子が悪くなってきた電子レンジを買い換えるときの予算はたぶん大きく違っているはずです。
これも、前者は新居での新生活準備、後者は普段の生活の中での予期せぬ突然の出費、というように勘定項目を分けているのが理由です。

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ライター:神津 洋幸


ストラテジックプランナー、リサーチャー。 Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。

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