ATS New York 2015:カンファレンスレポート

2015/11/13

サンフランシスコの中村です。

2015年11月3日に、Exchange Wire主催のATSがニューヨークSVAシアターにて行われましたので、カンファレンスレポートをお送りします。

Xaxis、Vivaki、Maxusなどといったグローバル広告会社系のデジタルエージェンシや、Open X、AppNexus等のアドテク最先端企業、
そして、ビジネス・インサイダーやNBCユニバーサル、Spotifyといった大手パブリッシャーによる貴重な話が盛り沢山でした。

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セッション1.オープニングセッション:AppNexus、Exchange Wire(モデレータ)

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Q1:Google、FacebookやAppleがニュースメディアとしてプレゼンスを上げてきているが、どう思うか?

・業界として非常にエキサイティングだが、パブリッシャーは慎重になり始めている。

・Googleがデジタル広告を支配しているため、独立系パブリッシャーにとっては、脅威。UKではGoogleとFBだけでデジタル広告の50%を占めている。

・AppNexusとしては、こういったことを背景に、独立系パブリッシャーのマネタイズ支援をするためのプラットフォームに注力している。

Q2:パブリッシャーはすべてのインプレッションをマネタイズしようとしている。自社サイトの在庫をイールドマネジメント(SSPを介すること)することに関してどう思うか?

・パブリッシャーは自社在庫のマネタイズを最大化するために、助けを必要としている。ヘッダービディングの実装が日に日に増えてきている。

・パブリッシャーはGoogleやDoubleClickに自社在庫とマネタイゼーションをコントロールされることを避けようとしている背景がある。

Q3:ヘッダービディングはアドサーバー時代を終わらせると思いますか?

・まずアドサーバーは直接取引を支援するもの。現時点では、どちらが、というよりは直接取引とプログラマティックが共存している状態。

・以前直接取引をすべてプログラマティックに切り替える実験をしたところ、圧倒的に収益が改善した。

但し、必ずしもそれがいいということではない。自社サイトの特性にあったものが必要。それはアドサーバーかもしれないし、そうではないかもしれない。

Q4:今年は多くの買収があった。今後も統合は増えてくるか?

・最近はアドテク業界においては、ベンチャーキャピタルからの資金調達が難しくなった。

Millenial Mediaのように過剰評価された企業が買収されたり、携帯キャリアがアドテク業界に進出してくるトレンドがあり、今後も統合は続くと見ている。

Q5:ヤフーは米国で大きくなってきている。ヤフーはどこを目指している?メディア会社、テクノロジー会社、それとも?

・もしかしたら上場廃止して独立系になるかもしれないが、来年は大きくピボットする予感はする。誰も予測できないことが起こると思う。

Q6:広告ブロックを防ぐために、やっぱりUXをより考えたほうがいい?

・もちろん。レーテンシーが一番の問題だし、例えばそれは携帯のバッテリーにも影響する。コンシューマにどのようなインパクトがあるかを再優先して考えるべき。

・テレビでは広告を飛ばしたりできる。同じこと。よりネイティブにし、コンシューマをどうやって引き込んでいくかを考えたほうがいい。

(ネイティブの定義は、パーソナライズされたコンテンツコミュニケーションを指します)

Q7:来年のアドテクトレンドはどうなる?

1.Consolidation(統合)、2.パブリッシャーを助けるためのテクノロジーが増える、3.Viewability→まだ時期尚早だが、将来的には100%Viewabilityの概念になる。

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セッション2.Where brand meets programmatic:Adform、Maxus America、Rodale、ExchangeWire(モデレータ)

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◆焦点:クリエイティブはプログラマティック化できるのか?

◆結論:まだできることとやりたいことが乖離しているが、プログラマティックは必要。

本セッションのポイントを以下の通り要約しました。

・ブランドのクリエイティブをプログラマティック化することに関しては、ブランドイメージを損なうことが多く、理想と実際にできることが大きく乖離しているのが実情。

・ブランドが管理しないといけないことが、プログラマティックになると、管理が行き届かなくなり、ブランドイメージに影響する。

・今はOne to One(1対1)マーケティングの時代であり、購買ファネル内での正しい”瞬間”を見つけて、それに合ったクリエイティブを見せる必要がある。

・広告出稿とクリエイティブをプログラマティックに連動させるのは難しいが、プログラマティックで取れるクリエイティブデータをうまく活用していく必要がある。

・One to oneクリエイティブを出し分けていくためには、DMP活用が肝となる。リアルタイムで出し分ける必要はなく、未来、朝、昼、夜、等のプランニングは重要だし、もっと上手にできるはず。

・メディア別に「Relevant(適切)」なクリエイティブを出し分けるのは大きなチャレンジだが、パブリッシャー側と密に連携し、KPI設定をする必要がある。

・大枠のクリエイティブアイディアをプログラマティックで細分化して活用することはできるようになっている。コンシューマジャーニーにポイント別で、細分化させてクリエイティブを出し分けることはできるようになってきている。

 

セッション3.How data unleashes value in programmatic video:Coull、VivaKi、NBC Universal、Video Ad News(モデレータ)

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Q1:データはビデオ広告に何をもたらすか、またテレビの立ち位置をどのように高めるか?

・マスリーチとターゲティングをわける必要なく、両方大事。

・ユニークユーザープロファイリングがデータで可能になった。広告は関連性が高くなくてはならず、それがデジタルではできる。Individualistic(対個人主義)がキーワード。テレビ、デジタル、ラジオすべてにデータを活用すべき。

・Doveのケースは、ブランド認知(テレビ)からファネルの奥に行く(ターゲティング)にあたって、プログラマティックのデータが活きていることがわかる。非常に上手なマーケティング。このようにコンテンツでリーチできる部分とデータでリーチできる部分が共存するとかなりパワフル。

・NBCはすべてのチャネルのデータをDMP管理し、広告主がNBCの視聴者に正しくリーチできるようになっている。

Q2:パブリッシャーはビデオ枠はプレミアムとして取り扱うべきか?

そうとも限らない。

・プログラマティックにおいては、自社メディアがどういう立ち位置なのかを理解することがとにかく重要。

・どの枠がどれくらいの価値があるかを理解する必要がある。誰に何を売るかがSSPとしては重要。

Q3:サプライサイドが需要を満たしきれていないが、なぜか?

・在庫は十分多い。コンテンツバリューと整備の問題の2点がある。

プレミアムコンテンツはしっかりと管理される必要があるが、まだ整備されていない部分も多い。また、プログラマティックでアクセスできる在庫がまだ整っていない問題がある。

・プログラマティックは将来的にはオークションになるけど、広告主との信頼関係も必要だし、時間がかかるもの。

チャンレンジはディスプレイとテレビのアプローチを結びつけるという考え方がまだ新しく、慎重に実行しなくてはいけない。ディスプレイでのアプローチの仕方がテレビでワークするとは限らない。

Q4:テレビがマルチチャネルに与える影響は?

・オーディエンスを理解することが一番のチャレンジであり、各社まだ取り組み始めたばかりという印象。オンラインとテレビのテクノロジーがまだ一つになっていないため、これから変わっていく。

・ダイレクトレスポンスに慣れている人達がテレビのテクノロジーを一緒にしようとするからワークしづらい部分があると思う。

・ダイレクトレスポンスアプローチではなくテレビのアプローチでテクノロジーの統合をしていかなくてはいけない。

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セッション4.Spotifyによるプレゼンテーション及び対談

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今年2月からプログラマティック開始した。

オーディオ広告がメインだが、今までプログラマティックオーディオは存在しなかったが、今年から技術が進んだ。

7600万ユーザーの3/4がフリーユーザー。

1ユーザー1広告のモデルのため、そのインプレッションに対して各広告主が競争している。

どこで何してるかによってターゲティングが可能(on the road, at home, on the go)。

午後2時-3時はストリーミングが激増する。例えば、Dunkin’ Donutsにこのような枠を直売したりしている。

また、最近PMPを開始した。100% view ability、1stパーティーデモグラフィック、プレイリストターゲティング、ジャンルターゲティングができる。

ブランドにはターゲティングが非常に有効活用できて、いい。サイコグラフィックデータがブランドには効果がでやすい。

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Q1:Spotifyはマルチデバイスにどのように対応しているか?

ユーザーエクスペリエンスがプライオリティ。プラットフォームによってはプレミアム会員だけにしている。

Q2:ビデオとオーディオのプログラマティック。広告代理店をトレーニングしてるのか?

ビデオはもうすでにあるマーケット。デスクトップ版ビデオにクッキーは使われていないから、そもそもそこの考え方からコミュニケーションする必要がある。まだデスクトップにおいてはクッキー前提で考えている代理店が多い。

オーディオはIABとスタンダードを作りに行っている。オーディオのテクノロジーサイドは、DSPとSSPがサポートするのを待っている状況。

Q3:DMPの戦略は?

まだライブじゃないが、DMPとインテグレーションを始めている。ブランドの1stパーティーデータを繋げられるようにする構想がある。

Q4:どう広告売るか?

ビューアビリティが100%なのはユニークであり、他では少ないため、これが一つの売りになっている。プログラマティックではビューアビリティは図れていないことがほとんど。SpotifyはフォーマットとUI的に、必ず表示されるため、受け入れられやすい。

Q5:インハウスセールスとのコミュニケーションは?

広告主はプレミアム枠をプログラマティックで買いたい。クッキーがないため、1stパーティーデータをベースにしたターゲティングと枠買いになる。

ダイレクトプログラマティックの売り方を進めている。

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セッション5.OpenXとの雑談:

Open Xからのメッセージ:

・サプライサイドの課題は、オープンとクローズド在庫コントロールの課題にある。

・オープン vs クローズド=競争を最大化する。バイサイドの競争を促すが、しっかりとコントロールできることが必要。

・誰にどの在庫を売るかコントロールできることが非常に重要。Degree of control(誰に、どれくらい、何を)が必要。

・オープンかクローズドどちらがいいの話ではない。

 

Q1:まだIOベースで売ってるよね?つまりダイレクトプログラマティック(Hand sold programmatic)。パブリッシャーから代理店や広告主へのコミュニケーションはどうなってるの?

・広告オペレーション部隊は、トラフィックを運ぶより、効果を運ぶことが仕事になっているというのが、ここ2,3年での大きな変化。

短期売上への最適化がメインだが、広告主とのリレーションによって、長期売上に向けて最適化をする(ペーシングをする)。

・IOベースで買う場合、バンドルで買うわけだが、広告主に不利になる枠売りは避けたい。完全プログラマティックだとこうなる。つまり仲介人(オペレーション部隊)が入る必要がある。

・過去2年でみたのは、プログラマティックエキスパート(会社)が出てきたこと。ヘッダービディングがいい例。Google Stackを使ってたら、例えばそれと競わせることでより広告収益上げたりする会社が出てきた。

Q2:どうやってよりお金稼げる?

まずは2つベンダーに質問すること。

1.導入してる会社を紹介してもらって、ヒアリングする。

2.在庫クオリティをしっかり理解する。広告クオリティとトラフィッククオリティ、つまり中身をしっかりとヒアリングする。

あとはそのベンダーとの相性になる。SSP側のサービスはやっぱり大事。Googleができない部分を他SSPがカバーをしている。

SSPはSSPしかやらないけど、Googleは色々やる。ノウハウが違う。GoogleプロダクトよりSSPスペシャリストのほうがマネタイズできるのは当然のこと。

また、サプライサイドは1社に絞ってはうまくいかない。急に料率変えられることもあり、売上に大きな打撃(Facebookとかでありがち)。だから複数のサプライが必要。常に、お金になるところからお金をつくることが必要。

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セッション6.パブリッシャープログラマティックモデル:SmartAdServer、Business Insider、Grapeshot、ExchangeWire(モデレータ)

パブリッシャーとして、2ndパーティー及び3rdパーティーデータをいかに活用するかという点がポイントとなっていました。

以下要約しますと、

・各社クロスデバイスは大きなチャレンジなっており、1stパーティーはデバイスIDとれているものととれていないものが混在するため、2ndパーティーデータを使う。

・ターゲティングはこれらのデータをくっつけてキーワードや興味に基いてターゲティングできるようにしている。

・right audience and right context(適切なオーディエンスに適切な文脈)にターゲティングできることが大事。

・1stパーティーオーディエンスをパッケージできるパブリッシャーが増えてきている。そこに文脈が入ってくるからFBと差別化ができる。

・パブリッシャーの間では、プレミアムプログラマティックがトレンドになり始めている。SSP経由のPMP販売。

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セッション7.Using Data & Insight for Efficient Programmatic Trading:Visual DNA、Media iQ、Xaxis、ExchangeWire(モデレータ)

Q1:クロスデバイスにはどのように対応している?

・クロスデバイスは3rdパーティデータプロバイダーから、クッキーとデバイスIDを紐付けてもらい、それを利用している。

Tapadのデバイスグラフの利用や、Accelate、Drawbridgeといったデータ会社からデータを買い、自社クッキー情報やデバイスID情報を元に、データをスケールさせている。

Q2:アナリティクスに重要なことは?

・データ→インサイト→アクション、のサイクルを回せるように、アナリティクスの設計をすることが非常に重要。

Q3:どうやってデータを取り込んで、それをうまく活用できるようにする?

・できるだけ多くのソースからのデータを集めることがまずは重要。データ取り込みについては、ビヘイビアセグメントで取り込む。

・プログラマティックのバイイングチャネルに、クッキー情報、デバイスID等を流し込んでキャンペーンを設定できるようになっている。クロスデバイスはまだ発展途上ではある。

Q4:GoogleとFacebookみたいにDeterministic(確定)データが無い中、どうやってクロスデバイスマーケティングをするか?

・当然Probabilistic(確率)だから正確性は劣る。但し、1st partyデータを3rd partyデータの紐付けにより、データをスケールさせることができる。Tapadがいい例。

→それはうまくいくの?

・確かに正確性の問題はある。ただ、デバイスグラフ(Tapad)はうまくいっている。全体的に正確性は上がってきている実感がある。

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以上、ATSニューヨークカンファレンスレポート、いかがでしたか?気づきはありましたでしょうか?

ビッグ5(Apple, Google, Microsoft, Amazon, Facebook)の力が日々増していく中、独立系パブリッシャーは生き残りをかけて、マネタイゼーションをコントロールできるよう奮闘しています。ヘッダービディングやイールドマネジメントの導入が進んでいくものの、まだ確率された成功モデルはないと言えるでしょう。これからもこういった業界の動きから目が離せません。

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ライター:中村 健太郎


GMOアドパートナーズ株式会社 海外事業推進室 エグゼクティブマネージャー 兼 GMO GameCenter USA, Inc. ディレクター
米国在住歴14年。慶應ニューヨーク学院高校を卒業し、慶応義塾大学経済学部卒業。
金融業界、インターネット音楽配信業界を経て、2008年6月にGMOインターネット株式会社に入社。
2011年よりサンフランシスコに渡り、一貫してモバイルアプリ事業、モバイルマーケティング、海外企業とのアライアンス交渉等のビジネス開発を担当。

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