アドフラウド(Ad Fraud/広告不正)とは?アドフラウド問題に切り込む、Momentum株式会社

2015/6/24

アドフラウド(Ad Fraud)とは、Botなどの機械によって、広告の表示回数・クリック数が計上されてしまう問題です。今回、日本のアドフラウド(Ad Fraud)問題に取り組んでいる、Momentum(モメンタム)株式会社の代表にお話をお聞きしました。
日本のBotの種類は、何らかの不正目的でトラフィックをたくさん生み出すためのBotというものが多いとのこと。結果として広告インプレッションも無駄に生み出してしまっているため、このような無駄な場所への広告出稿を回避することで、広告パフォーマンスは確実に改善されます。

アドフラウド(Ad Fraud)問題について対談

今回は、米国でも議論となっている”アドフラウド(Ad Fraud)問題”に日本発で取り組んでいる、Momentum(モメンタム)株式会社の代表大久保さんにお話を伺いました。

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Momentum株式会社 代表取締役 大久保 遼さん

アドフラウド(Ad Fraud)問題の米国と日本での違いや、日本企業での調査データなど、最新な情報を含め、アド論byGMO 編集長の谷本と対談していただきました。

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創業のきっかけとは?

アド論:
最初にMomentum株式会社の事業・サービス概要を教えて下さい。

大久保:
Momentum株式会社の創業は、2014年9月になります。
最初は、企業のブランド価値を守る(ブランドセーフティー)広告配信技術のアドベリフィケーションから始まり、現在では、広告不正を検知、除外配信を行なうアドフラウド(Ad Fraud)対策のサービスも行なっております。

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アドフラウド(Ad Fraud) 日本と米国の違いとは?

アド論:
先日5月に開催された、ad:techサンフランシスコに参加してきまして、そのカンファレンスを通して、一番議論されていたのは、このアドフラウド(Ad Fraud)問題でした。米国では、デジタル広告費の約11%がフラウドによるものとも言われておりました。また、被害規模は60億ドル以上あるといわれ、これは由々しき事態だなと感じました。

新たな指標定義として、「Cost Per Human」という新たなKPIの提唱もあり、Non Human Traffic(NHT)を検知し、無効カウントにする動きについて、非常に議論が活発に行われておりましたが、このアドフラウド(Ad Fraud)について、日本と米国の違いではどのようなものでしょうか?

大久保:
今回当社がリリースしました、アドフラウド(Ad Fraud)対策サービス”Blackheron”は、海外向けにもプレス発信しましたところ、米国の企業から直ぐにディスカッションさせて欲しいと連絡がありました。やはり米国で今注目が高まっているということを実感します。

 

米国でのフラウド被害の規模推移(eMarketer調べ)

米国でのフラウド被害の規模推移(eMarketer調べ)

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アドフラウド(Ad Fraud) 日本での特徴とは?

アド論:
eMarketerの調査によると、Bad Botの開発元の52%が米国であるという調査データが出ており、不正のためのBotが横行しているようです。この辺の日米の状況はどう捉えますか?

大久保:
少なからず日本市場もBad Botの対象となっているとは言えると思います。
ただ、Botという手段のフラウドの横行は、アメリカほどではないというのが、当社で調査した上での見解です。

アド論:
フラウドの手法にはいくつか種類があるのでしょうか?

大久保:
一口にアドフラウド(Ad Fraud)と言っても、ディスプレイ広告なのか、動画広告なのかといった広告の種類によって規模や割合が違います。
またアフィリエイト領域では、コンバージョンでのフラウドが多くなる傾向はあります。
弊社は現在、ディスプレイ広告の領域において、インプレッションやクリックのフラウドを精査することにより広告のコンバージョン率を上げていくというアプローチで取り組んでおります。また、動画広告においてもディスプレイ広告の対策が、ある程度転用出来ると考えています。
アフィリエイトでのフラウド問題というのは、今後、もっと取り組んで行きたいと思っております。

アド論:
日本の特徴的なフラウドというのはどういうものなのでしょうか?

大久保:
米国のフラウドの特徴としては、コンピュータアルゴリズムで機械的に悪さを行なうフラウドが多いです。
日本はフラウドを起こす側もそこまで自動化技術を取り入れている訳ではなく、例えばPVを買ってくるアクセスアップサービスですとか、スパムコンテンツをたくさん生成してトラフィックを稼ぎ、ブログのランキングをあげるといった人手も絡むフラウドが多いです。
また日本のBad Botの種類は直接広告収益自体を狙ったBotではなく、何らかの不正目的でトラフィックをたくさん生み出すためのBotというものが多いです。結果として広告インプレッションも無駄に生み出してしまっているという感じです。

アド論:
そのトラフィックを生み出す目的は何ですか?

大久保:
おそらく主な目的としては、直接の広告収益より、様々な目的のためにトラフィックを生み出す意味合いが強いと考えております。広告はそのメディアに付いている2次的なものです。
もうひとつの特徴としては、ポイント付与サイト・懸賞サイト・ゲーム内広告などがあります。もちろん、そこからユーザーのコンバージョン(獲得)に至る可能性はゼロではないのですが、ユーザー側からするとポイントを獲得するためのゲームのプレイ最中にわざわざコンバージョンする可能性は限りなく低いと考えております。

そのような場所への広告出稿を回避することで、広告パフォーマンスは確実に改善されます。

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アドフラウド(Ad Fraud)の日本における割合とは?

アド論:
アドフラウド(Ad Fraud)は大小問わず、様々なアドネットワークから見つかるのでしょうか。

大久保:アドフラウド(Ad Fraud)の占める割合の差はありますが、アドネットワークやDSPの配信先にてアドフラウド(Ad Fraud)が見つかります。

アド論:
当社GMO NIKKOも、昨年よりMomentum社のソリューションを活用し、このアドフラウド(Ad Fraud)検証及び対策は行なっておりました。これまでの実績から出ている、具体的なデータなど、ご紹介いただけますか?

大久保:
弊社が取り組んだ調査では、インプレッションにおけるBad Botの割合が2~3%、スパムコンテンツを含めると3-5%程ありました。
米国のアドフラウド(Ad Fraud)事業者からすると、「もっと割合は多いのではないか。」と言われたりもします。米国ほど割合は大きくはないという見解を持っておりますが、今後更に、日本におけるアドフラウド(Ad Fraud)調査を継続していきたいと思います。

Bad Bot が開発されている国別のシェア(eMarketer調べ)

Bad Bot が開発されている国別のシェア(eMarketer調べ)

アドフラウド(Ad Fraud)に対する広告主やネットワーク事業会社の反応は?

アド論:
米国はディスプレイ広告の約10%程度と言われている状況ですので、アドフラウド(Ad Fraud)の日本国内市場が、そこまで割合は高くないことは、少し安心しました。
これまで実施しているクライアントの反応はいかがでしょうか。

大久保:
実際配信されているアドフラウド(Ad Fraud)媒体のキャプチャなどをレポートすると、直ぐにアドフラウド(Ad Fraud)対策に講じるアクションを検討頂くことが多いです。
またレポートで報告するようにしておりますが、弊社がアドフラウド(Ad Fraud)判定した配信先やクリックからは、コンバージョンが生まれていないことが分かり、それが一つの効果の実感として評価頂けていると思っております。

アド論:
媒体社・アドネットワーク会社とも一緒に取り組まれていると思いますが。

大久保:
アドネットワーク・DSP各社によって反応は異なりますが、ネットワーク側に経済的メリットが無いかというと決してそうではありません。
アドフラウド(Ad Fraud)対策をすることにより配信先の質を上げることができるので、全体的にキャンペーンのCVRが上がることに繋がるということです。

フラウド対策を行なっているアドネットワーク・DSPのキャンペーンのROIが向上することになります。そしてその結果、アドネットワーク・DSP経由のインプレッションの価値が上がり、ネットワーク全体の収益力を引き上げることとなるため、経済的メリットが提供できると自負しております。
また、ご実施されている広告主企業に正しい数値を提示出来、不正のない広告配信を実現することで満足度を上げることに結びつき、選ばれるアドネットワークとなると考えています。

アド論:
結果的にアドネットワーク会社にとっては、自社の配信エンジンの精度を高めるためのチューニングに繋がるわけですね。
そして、複数のアドネットワークを採用し、広告キャンペーン全体をプランニングする、私どもエージェンシー側にとっても、お預かりする広告主のキャンペーンの効果を上げることに繋げることができるため、そしてブランドセーフティーの観点においても、積極的にフラウド対策を講じる提案を行なっております。

大久保:
弊社のツールを導入することで1インプレッションの価値を高めることができます。
価値が高いものは当然高い価格が付けられるべきで、これはオンライン広告市場全体の単価を引き上げる施策だと思っております。

アド論:
広告の効果を高めるために、アドネットワーク事業会社及び、エージェンシーサイドからも、
積極的に取り入れるケースは今後より増えそうですね。
今後の展開について教えて下さい。

大久保:
まずは、アドフラウド(Ad Fraud)対策という分野で純国産企業の第一人者として成長していきたいと思っております。その為にはたくさんのアドネットワーク・DSP会社に、我々の技術を評価いただき、1社でも多く採用してもらうことです。
例えば、ひとつのアドネットワーク・DSP会社だけが、自社の配信先の改善に取り組むことは、アドフラウド(Ad Fraud)全体の問題解決には至りません。そのためにも弊社の活動を通じて、複数のアドネットワーク・DSP会社に、このアドフラウド(Ad Fraud)対策を行なうという状況を作っていければ、ネット広告はもっと安心できる場になるのではないか、と考えております。
あとは、アプリ内広告やアフィリエイト広告など、まだ対策がなされていない部分にしっかり取り組んで行かなければいけないなと思っています。

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アドフラウド(Ad Fraud)の今後の課題とビジョンについて

アド論:
インターネット広告市場のより良い環境作りや発展に貢献できる、価値ある取り組みだと強く共感を覚え、弊社も昨年からアドフラウド(Ad Fraud)に対する取り組みをご一緒させて頂いております。
今後大久保さんの会社が目指していきたいというビジョンとか、アピールしたい点があれば教えてください。

大久保:
このアドフラウド(Ad Fraud)対策は、今の状態を可視化することによって、改善できることが増えます。それは、広告主、アドネットワーク・DSP事業主、エージェンシーのどの領域においても、プラスに貢献できる技術です。
現状のインターネット広告市場のひとつの課題は、広告配信の単価が下がり続けていることだと思います。配信されるインターネット広告の場をクリーンにしていくことで、広告の単価を引き上げることに繋がります。そのためのアドフラウド対策なのだという事を強くアピールしたいです。

広告インプレッションの質を高めるというのは最終的に、どの企業の立場からも、経済的にも健全でハッピーなものになるはずです。弊社のテクノロジーを活用していただいてインプレッションの質を引き上げていきたいと思います。

アド論:
米国でも話合われていましたけれども、やはり広告主のブランドを毀損しないインターネット広告の環境が、今最も求められている課題であります。
そこにおいては、インターネットの場をもっと健全にしていかなければなりませんが、不正を行なう人たちが収益を得られない対策は重要であります。インターネット広告のアプローチからできる健全化への動きだと思います。

あとは、エージェンシーサイド・パブリッシャー(媒体)サイド・アドネットワーク事業会社、そして広告主の皆様も含めて、それぞれが共通認識をもってこの課題を解決していく取り組みについては、米国では業界委員会を設置し、撲滅を目指していました。日本での同じような取り組みが進んでいくことになるが解決に向けた動きでもあると思いました。

大久保:
情報を共有することが大事だと思っております。
共通の環境やデータの共有によって、より多くのデータ解析が行われることで、アドフラウド(Ad Fraud)対策も広がります。日本では、そこの一翼を担うのが弊社でありたいと思っております。

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ライター:平野 駿


GMO NIKKO株式会社 コンサルティング本部 ストラテジック部所属。
法政大学 国際文化学部卒業。新卒としてGMOアドパートナーズ株式会社へ入社。
SEO・SEMの営業を経て、現在はディスプレイ広告の運用、
分析、改善施策の提案などの業務に従事。

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