ドラゴンズからWebマーケティングのヒントを見つけてみた

2011/10/26

先日、プロ野球の中日ドラゴンズが2年連続のセリーグ優勝を決めました。
ドラゴンズは今期限りで退任する落合監督就任以来8年間で4回優勝、また8年連続してAクラス(3位以内)をキープと、長期にわたって継続的に安定した結果を出せるチームに確実に育っています。

この「長期にわたって継続的に安定した結果を出せる」ということ、それはWebコミュニケーション、特にECサイトやブランドサイトといった常設型Webサイトによるコミュニケーションの理想の形でもあります。・・・ということでかなり唐突かつ強引ではありますが、落合ドラゴンズの強さの理由を分析することで、Webコミュニケーションに活かせるヒントを見つけることに挑戦してみたいと思います。

今回は、(図1)のWebコミュニケーションの効果最適化フレームに、今シーズンのドラゴンズをあてはめることで、その強さの理由を分析することにします。

このフレームは、目標を達成するための戦略とそれをモニタリングするKPI、さらにKPI数値の変動要因を抽出するための分析指標とそれに紐付く最適化プランによって構成されています。このフレームにWebコミュニケーションをあてはめることで、目標達成を阻害する要因の発見と解決のためのアクションがスムーズにとれる仕組みになっています。

では早速今シーズンのドラゴンズをこのフレームにあてはめてみましょう。

まずは目標を設定します。プロ野球チームである以上ここは当然「優勝」でしょう。そして現在のプロ野球は勝率トップのチームが優勝するルールになっていますのでKGI(Key Goal Indicator)は「勝率」になります。ここまではよほど特殊な事情がない限り各チーム共通のはずです。

問題はKPI(Key Performance Indicator)。ここからは、各チーム優勝を目指すためにとる戦略によって設定される指標は異なってきます。
そこで今シーズンの成績データを基にドラゴンズの戦略を推測してみました。
今シーズン、ドラゴンズの失点は410。これはセリーグ6球団中最も少ない数値です。ただし、得点も419とセリーグの中で最も少なく、得失点差はたったの+9点しかありません。ちなみに3位のジャイアンツの得失点差は+54点、4位のタイガースは+37点です。
チーム打率は.228。これもセリーグ最下位の数値です。
一方、投手力は豊富で今シーズン10試合以上登板機会のあった投手15人のうち半数以上の8人が0~1点台の防御率を記録しています。同じく15人のうち防御率が3点を上回ったのはたったの3人しかいませんでした。このことから失点を最小限に抑えて守り勝つことを重視した戦略であると推測できます。よって、戦略の進捗をモニタリングするKPIは「チーム防御率」を設定しました。
チーム打率や得点数、本塁打数といった指標もチームの戦略によってはKPIになりうる指標ですが、これら指標はドラゴンズの守り勝つ野球という戦略にリンクしないためKPIにはあえて加えませんでした。

次に、KPI数値の変動要因を発見するための分析指標とそれに紐付く最適化プランの設定です。KPIであるチーム防御率の直接の変動要因は失点ですので、分析指標は失点の要因が分かる指標として「各投手の防御率」「失策数」を設定しました。最適化プランは投手力の強化、守備練習量の増加、などが考えられます。(私は野球経験者ではないため最適化プランの内容が薄いことはご容赦下さい)

ドラゴンズをこのフレームにあてはめてみて強く感じたのは、そこから全くブレのない「勝ちパターン」がきれいに浮き上がってみえるということです。
また、この勝ちパターンでの戦い方は今に始まったものではなく、何年のもの間こだわり続け、磨き上げられたものである、ということを過去の成績から窺い知ることができます。
「勝ちパターン」を確立し、長い時間をかけて磨き上げ、その戦い方に迷うことなくこだわり続けることができたこと。それが今のドラゴンズの強さの理由である、というのが今回の結論です。

最後にWebコミュニケーションにおける「勝ちパターン」の条件をいくつかまとめてみました。
①実績に裏打ちされたものであること。
②偶然や外部環境に頼ることなく再現が可能なものであること。
③目標、戦略、KPIがしっかりと設定されていること。
④なにが勝ちパターンの要因となっているのか、きちんと把握できていること。
⑤KPIと勝ちパターンの要因が、数値としてしっかりと計測できていること。
⑥競合と差別化できる、または競合の優位に立てるものであること。
⑦継続的な実施が可能なこと。
⑧なによりも、揺るぎない自信と信頼、そして誇りの持てるものであること。

野球もWebコミュニケーションも好調な時こそ、その要因をしっかりと分析し、それが競合に勝つための強みとなりうるか?を見定め、自分の「勝ちパターン」を確立することが大切です。
13年前、勢いで優勝してしまったものの、優勝できた要因を見つけられず勝ちパターンを確立することができなかったばかりに、その後すっかり最下位が指定席となってしまった我が愛すべき某球団のようにならないためにも・・・。

※本コラム中に出てくる中日ドラゴンズの戦略は、今年のチーム成績と各選手の個人成績から私が勝手に推測かつデフォルメしたものであり、実際の球団戦略とは異なることをご了承下さい。
※プロ野球の成績データは2011年10月23日現在のものです。

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ライター:神津 洋幸


ストラテジックプランナー、リサーチャー。 Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。

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