プライベートDMPの基礎知識

2014/6/6

プライベートDMPの基礎知識

マーケティングの世界でも、ここ数年のトレンドワードとなっているビッグデータ。

それに連動する形で、デジタルマーケティングの世界では「DMP」というキーワードがじわじわと注目を集めています。

 

■DMPの定義

DMPは「データ・マネジメント・プラットフォーム(Data Management Platform)」の略称です。

またDMPは広い概念と可能性を含んだプラットフォームのため、カチッと定義するのはなかなか難しいのですが、あえてざっくりと定義してしまうと「様々なデータを取込み、それを一元管理・分析して、いろいろなチャネルのコミュニケーションに活用するためのツール」となります。

 

■2種類のDMP

現在、世の中に出ているDMPと呼ばれているサービスは、大きく2種類に分類できます。

 

DMP(オープンDMP)

単にDMPと呼ばれるサービスの場合、一般的にはデータセラーとしての役割を持つタイプのDMPを指します。 後述するプライベートDMPとの対比でオープンDMPと呼ばれることもあります。

具体的には、DMP事業社がポータルサイトやECサイト、検索エンジンなどから収集したサードパーティのオーディエンスデータを集約・分析し、Web広告配信用に利用(販売)するための仕組みとなります。

広告主はDMPとDSPを組み合わせて利用することで、よりターゲティング精度の高い広告配信が可能になります。

 

プライベートDMP

プライベートDMPは、その名前の通り企業が自社で保有するDMPです。

自社サイトの閲覧履歴、性別・年令・居住地といった顧客属性、POS・購買情報など、オンライン/オフラインの企業独自データを統合・分析し、セグメントすることができます。

また、前述のオープンDMPと連携すれば、より広い潜在顧客を開拓するためのデータ基盤を構築できるかもしれません。

そしてその分析データは、Web広告配信だけでなく、Webコンテンツやオフラインを含むあらゆるチャネルで活用できる可能性を持っています。

プライベートDMPのイメージ図

 

 

 

データをマーケティングに結びつけ最大限に活用することを考えた場合、企業が重視すべきは当然後者のプライベートDMPです。

 

続いて、プライベートDMPの具体的な活用方法、中でも代表的な3つの方法を紹介します。

 

プライベートDMPの活用方法①Web広告のターゲティングに活用

プライベートDMPの最大のメリットは、企業が独自に保有する顧客データとWeb上のユーザ行動データをつなげて活用することができることです。

そのことにより、例えば「ある漫画タイトルを3巻まで購入している20代男性」「自社の航空券予約サイトで最近1週間に2回以上アメリカ行き航空券情報を検索した北海道在住の男性20代会社員」「ダイレクトメールの開封率が悪い自社EC会員」など、従来のWeb広告では不可能だった高精度なターゲティング配信が可能になります。

CRMツールを駆使して配信するダイレクトメールと同等レベルのターゲティング配信がWeb広告でも可能になる、といえばイメージしやすいかもしれません。

また、これらの高精度なターゲティングは、CMS(content management system)やLPO(Landing Page Optimization)のツールと連携することによりWeb広告配信だけでなくコンテンツマーケティングに活用することもできます。

図1

 

 

ただ、これらの活用方法は当然ながら、つなぎたいそれぞれのデータを会員IDなど共通のKeyでマッチングできることが必須条件となります。

 

プライベートDMPの活用方法②オムニチャネルコミュニケーションに活用する

プライベートDMPで、顧客データとWeb上のユーザ行動をつなげることができるということは、Web上のユーザ行動をリアルコミュニケーション施策に活かす、ということも可能にします。

例えば「自社ECサイトで最近1週間にベッドの情報を複数回閲覧、かつECよりも店舗での購入履歴が多いユーザ」に店舗で使えるエアコンの割引クーポンをDMで送る、といったことができるようになるのです。

 

プライベートDMPの活用方法③外部オーディエンスデータを活用する

プライベートDMPは、自社顧客データとWebデータの統合により、これまでにない高精度ターゲティング配信を可能にしますが、あくまでもターゲティングの対象は最低でも過去1回は接点のあったユーザに限られます。つまり、一度でもコンタクトしたことのあるユーザの育成には力を発揮しますが新規ユーザ開拓には課題があるということです。 それを解決するのが外部オーディエンスデータの活用です。

もちろん、自社データと外部オーディエンスデータを顧客単位でつなげるということはできませんので、具体的な活用方法としては自社データの有望セグメントと似た特性のユーザに配信する、シミラー配信のような使い方が主流となります。

図2

 

 

 

さて、ここまで様々なプラベートDMPの可能性を紹介してきましたが、改めて認識していただきたいのは、プライベートDMPはあくまでもデータとデータをつなげて分析する役割を担う箱にすぎないということです。

プライベートDMPの導入を成功させるには、どのような目的で導入するのか?どのようなデータを統合するか?どのような外部ツール・システムと連携するか?運用にはどのような人材が必要か?など、導入前の綿密な設計が必須となります。

 
 

プライベートDMPの役割を簡単に整理すると、

①自社Webサイトの行動データ、顧客データなど、企業が保有・収集可能な複数のオーディエンスデータを統合する。

②統合したオーディエンスデータをセグメント化する。

③セグメント化したオーディエンス毎に最適なコミュニケーションを実施する。

この3つの要素に集約することができます。

 

オーディエンスの特性を明確化し、オーディエンスそれぞれの特性に合わせた最適なコミュニケーションが 実現できるプライベートDMP。

但し、導入を成功させるためには導入前にいくつかのポイントを明確にする必要があります。

 

導入成功のために明確にすべき4つのポイント

プライベートDMPの導入成功のために明確にすべき4つのポイント

それでは、導入前にどのようなことを明確化すればよいのでしょうか? 重要な4つのポイントをまとめてみました。

 

①プライベートDMPの導入の目的とKPIはなにか?

これは4つの中でも一番重要なポイントです。

プライベートDMPの導入によってターゲティングやコミュニケーションの可能性は確実に広がりますが、プライベートDMP単体だけでは何もできないのも事実です。

プライベートDMP導入の目的とKPIを明確にし、それを達成するためにはオーディエンスをどのようにセグメントしてそれぞれにどのようなコミュニケーションを実施すれば良いのか?を設計、そのために必要なデータを取り込み、必要なコミュニケーション手段と連携することで初めてプライベートDMPは機能します。

つまり、最初に目的とKPIを明確にしておかなければ、そもそもプライベートDMPの導入設計自体できないということになります。

また、当然ではありますが、導入目的とKPIは、その企業が抱えている課題を解決する為のものでなければなりません。

参考ではありますが、プライベートDMPの導入目的はざっくり分けると以下の3つのパターンのいずれか(または複数)であることが多いようです。

 

<ユーザを育てるコミュニケーション>

プライベートDMPの王道といってもよいパターンです。ユーザのステージ(サービス関与度合)を切り口にセグメント化し、セグメント毎に最適なコミュニケーションを繰り返し行うことでより高いステージ(優良ユーザ)に育てるのが目的になります。

 

<デバイス・チャネルをまたぐコミュニケーション>

店舗ユーザへのWebコミュニケーション(またその逆)、デバイスをまたがったターゲティングコミュニケーションなどがこのパターンに当てはまります。本来はつなぐごとが難しかった異なるチャネルやデバイスのコミュニケーションですが、それぞれのオーディエンスデータを統合管理することによりそれを可能にします。

 

<ユーザを広げるコミュニケーション>

優良顧客データに基づいたルックアライクターゲティング、3rd Partyデータとの連携配信など、新規ユーザ開拓を目的としたコミュニケーションがこのパターンになります。但し、プライベートDMPの特性上、できることや精度は連携するデータやDSPなどに依存する部分が多くなってしまうのは否めません。

 

②どのような条件でセグメント化したいのか?

プライベートDMPの導入目的とKPIを明確にすることで、目的を達成するためにオーディエンスをどのようにセグメント化すればいいのか?を考えることができます。

例えば、新規顧客を優良顧客に育てるのが目的ならば、顧客の購入ステージ別(新規、トライアル、休眠・・・など)でセグメント化するのが良いでしょう。

ちなみに、この段階ではざっくりレベルのセグメントイメージができていれば問題ありません。

 

③どのようなデータが必要なのか?

ここでは②で明確にしたセグメントを実現するためにどのようなデータが必要か?を検討するのですが、実はこのポイント、思わぬ障壁が隠れていた、ということが多いポイントでもあります。

その障壁とは「組織の壁」です。使いたいデータが別の部署の管轄だったため利用することができなかった、データベースを管理している部署を容易に動かすことができなかった、といった理由でプライベートDMPの導入を諦めた、という話は、実はそれほど珍しいことではないのが実情です。

プライベートDMPをスムーズに導入し、データ資産を最大限に活用するためには、組織を横断した企業ぐるみのプロジェクトとして臨むことが理想といえるでしょう。

 

④セグメント毎に最適なコミュニケーションを実現可能か?

目的を達成するためにどんなに良い切り口でオーディエンスをセグメント化しても、セグメント毎に最適なコミュニケーションをとることができなければ全く意味がありません。

それらセグメント毎に最適なコミュニケーションを設計するのはもちろんのこと、それを実現できるアプローチ手段(DSP、メール配信サーバ、CRMツール・・・など)と連携がきちんと取れることの確認が重要になります。

 

①~④のポイントを、簡単にイメージ化してみました。

アド論コラム用画像

 

 

 

もちろん導入の「目的とKPI」は一つではないことの方が多いと思います。

その場合も、それぞれにこの①~④のポイントをあてはめ、実現の可能性やもたらす効果を考慮し、優先順位を決めて導入計画を検討いただくことをお勧めします。

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ライター:神津 洋幸


ストラテジックプランナー、リサーチャー。 Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。

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