ガリバーインターナショナルは、クルマ屋じゃない?(前編)

2013/12/3

こんにちは! 神谷みめいです。久々のエントリーとなります。

今回は、個人的にも懇意にしている株式会社ガリバーインターナショナル、
マーケティングチームの北島昇さんと長谷川美佐さんを取材してきました。

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長谷川さん(左) 北島さん(右)

最近、新しい取り組みをスタートしたとの話を耳にしたので、
独自のビジネスモデルやマーケティング戦略、オウンドメディアの考え方など
いろいろ突っ込んだ話を含め、アド論編集長の谷本と突撃してきました。

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■ガリバーのビジネスモデルはアマゾン!?

●谷本:
まず最初にガリバーインターナショナルのビジネスモデルを教えてください。

●北島さん:

http://221616.com/

ガリバーは全国420の店舗で車の買取と販売を行っていますが、ビジネスモデルの考え方はアマゾンに近いです。
車の買取ビジネスというのは、買い取った車を全てエンドユーザーさんに販売する訳ではありません。つまり、中古車屋さんが商品を仕入れに来るオートオークションで売却することもできます。そうなると車は在庫ではないんです。我々の事業にとって車は在庫ではなく、「情報」だと思っています。

我々の販売事業っていうのは、アマゾンと同じで、①情報の量、②情報の質、③出会い方(マッチング)、この3つの要素が極めて重要です。

「情報の量」というのは、ロングテールの対応力とか、新車とか、査定ビジネスの規模の拡大など。

「情報の質」は、情報の深さ。実はこれからやろうとしている事なんですが、元々のオーナーである売り手の情報を活用していこうとしているんです。買取と販売を両軸で持っている我々のビジネスの特性を生かして、車を売却された方のリアルな情報を販売時に活用することで、ユーザーレビューやメーカーさんの車の情報とはまた違った角度で情報提供ができるのではないかと考えています。
例えば、この車はこんな人が乗っていたっていう一般的な属性や、乗り方・使い方、またその前オーナーの価値観などを活用すると、面白い係数が抽出できるのではないかと思ってます。

そして、「出会い方の設計」。それがアプリ、オウンドメディア、その他Webサイト、Facebook、店舗であったりと多々あります。

https://www.facebook.com/Gulliver.intl

事業の特徴はたくさんあるんですけど、我々が一番ピンと来てるのは、やはりアマゾンさん。「結局、情報のマッチングなんだ」いうこと。それがとてもスピーディーでローリスクにできるということがウリ、という風に考えています。

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■ガリバーマーケティングチームの組織論

●谷本:
では、貴社内でマーケティングチームは、どのように組織されているのでしょうか?

●北島さん:
実は今は過渡期でして、立ち上げ期はネット・リアル・マス・CSRを内包する統合的なコミュニケーションを考えていたのですが、今は沢山チャネルとかプロダクトを増やしていく中で、「縦」を強めようとしています。新しい販売チャネルの定義というものができたら、「縦」の事業責任者がより意識を強く持っていかないといけないと思うんですよ。

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例えば、大量のプロジェクトが並行して走っている中で、新しいサイトが立ち上がるという場合に、担当者の中で色んな観点で勝手にバランスをとったり、チューニングしたりしてしまうんですね。また、自分はこの領域には弱いからって、他の人を巻き込んで、効率が悪くなってしまったり。結果、なにが起きるかというと、プロジェクトリーダーとか事業責任者のオーナーシップを下げちゃうんですよ。

これはマーケティングチームだけではないですが、とにかく社員がやるべきコア業務をより高度化して切り捨てられるものは切り捨て、小さくて出力の高いチームにしていくことが重要だと思います。

我々の今の事業フェーズは、出店を国内800店舗、海外800店舗と完全に投資フェーズなんです。ですので、高出力で強いチームにしていきたいんですけど、それは効率のためというよりは、新しいトライをどんどん増やしていくためのフェーズだと思っています。時間が非常にもったいないと思うんです。
その取組みが組織の「縦」を強くする意識と思っています。

●谷本:
その根底にある「縦」に強いチームの根幹で言うと、会社としては権限委譲をしながらも、その人自身は意思決定力というか、事業全体を理解しながら、個々の最適化が出来る人間でないと、なかなか推進していく上で途中で難しくなってしまうと感じますが、その点如何ですか。

●北島さん:
そうですね。だから、私の気持ちは今は「マーケティング組織のあり方」というよりは「マーケティング機能のあり方」という感覚になっています。

●谷本:
「機能のあり方」ですか。それは経営にも直結するCMO的な役割と機能だったりしますでしょうか。ちなみにガリバーさんのマーティングではCMO的な役割の人は存在するのですか?

●北島さん:
CMOという機能や役割はありませんが、ただ経営との距離という意味では、他の会社さんよりも近いと思います。

●谷本:
それは、社長、会長含めて、マーケティングとの連携というのは多いものですか?
それともある程度お任せしてもらっているという感じですか?

●北島さん:
そうですね。任せてもらえていると思います。もしくは、任されていないと思う部分があれば、それを奪いにもいきますよ。もちろんいい意味でです、笑。

●谷本:
現在ガリバーの社員は2,000人くらい、東京オフィスは500人くらいですか?
そうすると、施策を講じる上でも、社内調整も大変になりませんか?

●北島さん:
例えば、企業によって営業が強いとかIR上どうだとか、色んなことにぶつかるじゃないですか。マーケティングのチャンスって、会社の色んなそういう論理の中でつぶれてしまうことが多いから、だからそれを担保するには気を遣っちゃいけない部分もあるかな、と思っています。

●谷本
なるほど。マーケティングにもスピードが重要ということですね。
また、マーケティング施策を考える上でターゲットのインサイトを理解するということがとても重要だと思いますが、ところで羽鳥会長や羽鳥社長は、実際の営業現場で中古車の買取をしたりするんでしょうか、笑。

●北島さん:
もちろんです。以前、社長に「数字厳しいです」とか言ったら、「俺、買取するよ!」って(笑) 相変わらずイチ営業マンとしての熱さを持ってる人なんですよ。

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●谷本:
ではそこはやはり、経営者のみなさんもターゲットやニーズを理解しているということですね。

●北島さん:
もちろん顧客の声やニーズには敏感です。が、とはいえ、顧客の声が全てではない、とも思っているようです。一番いけないと思うのは、マーケティングの施策などに対して、「ユーザー目線」で意見をすることですよね。ユーザー目線って無敵の目線ですから、議論にならないじゃないですか。何かを目指す組織内において、ユーザー目線でフィードバックしていい人間って限られているはずなんです。当社の経営者はそれを理解した上で、様々な施策を一緒に議論してくれています。

●谷本:
なるほど。確かに「ユーザー目線」の意見は正しいとは限りませんしね。ユーザーの声を聞いた商品やサービスが上手くいかず、ユーザーの声を聞かずに企業側の提案として出されたサービスなどにヒットがあるという話はよく聞きます。

●北島さん:
私は「ユーザー目線」として語ることが嫌なんです。

●谷本:
ユーザー目線のふりした自分の意見を言っていたりしますからね。

●北島さん:
そうです。それは大前提です。ただマーケティング施策、特に上位概念を設計していくような場合には、一旦考えない場合もあるのかな、とも思います。
外資系のマーケティング会社の方のお話を聞くと、すごくユーザーへのコミュニケーション設計がちゃんとしてるなと思います。上位概念から最終的なユーザー接点の持ち方まで、ステップがコミュニケーションの受け手である顧客の目線もふまえてちゃんとキレイに作られている。とても素晴らしいと思っています。
それと比較すると、日本は、実行力がある人とか、面白い人がいない限り、面白く回らないようになっていると思うんです。それだけじゃダメだと思うんですよね。

●谷本:
マーケティングが個のチカラに頼りすぎてしまうと組織の機能のあり方が、その人依存型になってしまうので、そこはやっぱり組織としてのチームビルディングというか、マーケティングにおける戦略性っていうのは組織として重視されているということですよね。それが今所属されているマーケティングチームに限らないようにしているということですね。

●北島さん:
そうですね。そういう意味では意見をぶつけ合いながらですけれど、「思いを全体に広げていければいいな」と常に考えながら、動いています。

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■ガリバー流新プロジェクトの作り方
●神谷:
いまマーケティングチームのお話がいろいろありましたけど、例えば新しいプロジェクトが立ち上がった時、そこにプロジェクトを推進し、マーケティングチームのメンバーを機能としてコントロールして推進するプロデューサーのような人間っていうのは、始めにどこから抜擢されるのですか?

●北島さん:
いろいろありますが、基本的には営業企画の人間が多いですね。

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●神谷:
そのプロデューサーになれる人材を、どんどん育成し、増やしていかれるわけですね。

●北島さん:
そうですね、ただプロデューサーになるためのスキルセットであったり、元々のマインドセットみたいなものが必要です。

●谷本:
某大手企業のマーケティング責任者の方にお話しを聞くと、何千人もの社員のほとんどがその「事業」自体に魅力を感じ、就職してきているので、「マーケティングが好き」とか「プロモーションで自分の力を発揮したい」という人材は決して多い訳ではなく、抜擢と育成に苦労するというお話しを聞いたことがあります。やはりガリバーさん内でも、「ガリバーのマーケティングやりたくて入社しました」という人はそんなには多くないですか?

●北島さん:
そうなったら嬉しいですけど、仰る通り、あまり多くはないですね。
そもそもうちの会社は「車屋」と思われるわけでもないので、車好きが集まる会社という訳ではありません。ITを活かしたベンチャー企業だと捉えられていると思います。

●谷本:
より良いサービスを提供する部分の根幹が情報のマッチングで、それのもっとも最たる出会いの場がインターネットだったりする、そういうものがアマゾンと似ていると仰っている部分ですね。結果として売るものが本だったりCD、自動車だったり、流通革命が起きたわけですね。
ガリバーさんは中古車っていうのがコアですが、将来的にはもしかしたら変化があるかもしれないですよね。車以外の商品を売っているかもしれない!

●北島さん:
ビジネスモデルで成長してきた会社ですから、無い話ではないですね。
今は、「販売」に力を入れているので、私は「モデルの会社」から「愛の会社」に変わるべきだと思っています。

 

~第2回に続く~

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ライター:神谷 みめい


コミュニケーションプランナー。東京都立大学法学部卒。大学在学中よりコピーライターとしてデザイン会社に勤務。主に雑誌、カタログ、ポスターなどの制作・ディレクション業務を担当。2006年より現職。ウェブを中心とした戦略・プロモーションのコミュニケーション設計を担当。

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