表参道デートができる男性は上級者?位置情報で見るクリスマス・イルミネーション

2017/12/22

12月に入り、各地でイルミネーションの点灯式も行われ、あっという間にクリスマスムードになってきました。今年のクリスマスデートの予定は、もう決まりましたか?
海外のクリスマスは、家で家族と過ごすのが当たり前ですが、日本ではクリスマスショッピングのプロモーションに加えて、どのレストランでも豪華なクリスマス限定コースを提供しています。ロマンチックな夜のために多くの企業がデートに役立つキャンペーンやイベント企画しています。

そんな中、毎年この時期になると、テレビでも人気スポットが紹介されるクリスマス・イルミネーション。「選択肢が多くて選べない!」というあなたのために、広告マーケッターらしい選び方で、あなたに合ったクリスマスデートプランを組んでみてはいかがでしょうか。

都内にもいくつか有名スポットはあり、今ちょうど東京ミッドタウンでもモエ・エ・シャンドンのイベントがイルミネーションスポットの隣で行われていますが、マーケティングの観点からは、次のような点が気になるところです。
この時期にイルミネーションスポット周辺でどれくらい人が増えているのか?それはどういう人たちなのか?また、どこからどういう状況で来ている人たちなのか?普段あまり来ないと人たちを惹きつけて、それ以降もそのエリアへのリピーターとして来てもらえたら商業施設などにとってはとても嬉しい話です。

そんな疑問について、スマートフォンの位置情報データを使って2016年のイルミネーション時期の生活者動向を分析し、今年のクリスマスシーズンのビジネスチャンスについて、予想してみたいと思います。今回はシナラシステムズジャパン株式会社 マーケティング・ディレクターの高山靖弘氏にクリスマスのロケーションのデータのご提供と分析を行っていただきました。

 

体験としてのイルミネーションによる集客力

必ずしもイルミネーションによって人が増えているとは限りません。実はエリアによってパターンが異なります。ここで見るのは実数ベースの規模ではなく、増減率です。例えば表参道やお台場は、恵比寿の3倍近くの人たちが訪れていますが、あくまでイルミネーションの期間中に普段と比べてどれくらい増えているのかという点を検証していきます。
以下のグラフは、4つの有名なイルミネーションスポット周辺にいたユーザーのボリュームを対象期間全体で100%にしたとき、週毎の分布を表したものになります。

恵比寿ガーデンプレイスとカレッタ汐留は、共にイルミネーション開始週からユーザー数が増えているのに対して、表参道は緩やかな上昇、アクアシティお台場は一時的にやや下がっていることがわかります。また、クリスマスの週に関しても、恵比寿ガーデンプレイスとカレッタ汐留は大幅に人数が増えている一方で、表参道とお台場はそこまで上昇していません。このパターンの違いには、各エリアの特徴とイルミネーションの方向性が反映されています。

恵比寿ガーデンプレイスとカレッタ汐留は、ビジネスパーソンが多いエリアであるため、大勢の人が食事や買い物のついでに通る場所ではありませんが、イルミネーションを「スペクタクル」として提供しています。恵比寿ガーデンプレイスの場合は、毎年恒例のレッドカーペット、そして何よりもバカラ・シャンデリアが、訪れる人に高級感溢れる空間を提供してくれます。カレッタ汐留は2016年に『カノン・ダジュール』と題して、オリジナル楽曲とイルミネーションの組み合わせを通じて来訪者を魅了します。

共通点としては、単に見て美しい「風景」としてだけでなく、何かしら他にはない「体験」を提供しており、その結果イルミネーション期間、そしてクリスマスの週に大勢の人を惹きつけていることが予想されます。

一方で、表参道とお台場は、いずれも日常的に遠くから人を呼び寄せる力のあるエリアです。違いは表参道が「近場レジャー」で、お台場が「遠出レジャー」といったところでしょうか。いずれも差分だけを見ると、イルミネーションでそこまで人を増やせてはいないのですが、普段から周辺で活動している人以外も、ショッピングやレジャー目的で多数訪れるため、イルミネーション時期とそれ以外の差があまりないのが実態です。

 

集客の原動力はクリスマスイブ、キーワードは「デート」と「男性」

では次に日別推移を見てみましょう。

実際に12月の日別推移を見てみると、まずはイルミネーション期間中、恵比寿ガーデンプレイス、カレッタ汐留、アクアシティお台場の3スポットは週末に山を迎えていることがわかります。一方で、表参道はやはり日常的な近場レジャーとして、平日でも訪問者が多く、そこまで週末に大きな山がありません。
また、前者の3スポットは、いずれもクリスマスイブにピークを迎えており、やはり訪問者数増加の因子は、イルミネーション単体というより、クリスマスイブ、そして2016年はそれが土曜日であったことが主な理由でしょう。

一方で、表参道だけクリスマスイブに若干来訪者数が下がっているのですが、以下の要因が考えられます。

① 表参道のイルミネーションは、それが目的ではなく、ショッピング後の「ついで見」や「ながら見」が多い
② 表参道は年に1回の大切な夜を過ごすデートスポットというより、ショッピングエリアとしてのイメージが強い
③ 表参道は男性にとって、わざわざ外出するエリアとしてのマインドシェアが低く、男性がデートの場所を決める際に候補として上がってこない

3点目のポイントについては、エリア毎のデモグラ構成比を比較して見ても、表参道の女性比率が最も高いことがわかります。日常的な集客力の観点からはまったく問題ありませんが、クリスマスの集客力という観点からは、男性の囲い込みとデートスポットとしての魅力を上げる余地はありそうです。

 

クリスマスイブは、普段周辺エリアにいない人たちが来ている!

ここからは、イルミネーションの質的な集客効果、つまり周辺エリアに普段いない人たちがどれくらい呼び寄せられているのか、そしてそれがどのような人たちなのかについて検証していきます。

以下のグラフは、各イルミネーションスポット周辺エリアにいた人のうち、イルミネーションが始まる前の1ヶ月間は一度もそのエリアにいなかった人の割合を示しているものです。

イルミネーション期間中は、訪問者の過半数が普段そこにいない人たちです。クリスマスイブはその比率が更に上昇していることがわかります。つまり、イルミネーションのおかげで「新規ユーザー」の誘致はできているということです。更に、こういった日常的な行動圏外からの集客効果は、やはりイルミネーションだけでなく、クリスマス効果が非常に大きいこともわかります。

ボリューム面では大差ない表参道も、新規訪問者の比率は他のエリアと比べて低いですが、クリスマスイブに大幅上昇していることがわかります。特に上昇幅が大きいのは恵比寿ガーデンプレイスとアクアシティお台場で、デートスポットとしてクリスマスイブに普段はそこにいない人たちを惹きつけていることがわかります。

 

クリスマスイブは、東京の外に住んでいる人たちも来ている!

では実際のところ、どれくらい遠くから来ているのでしょうか。以下のグラフは位置情報データで、居住エリアをベースに東京の外から訪れている人の比率を表したものです。

やはりお台場は、イルミネーション前でも観光地として東京の外から訪れる人の比率が半分と高く、イルミネーション自体の影響はないものの、クリスマスイブに上昇しています。残り3スポットに関して、表参道は大差ありませんが、カレッタ汐留と恵比寿ガーデンプレイスは、東京以外からの訪問者比率がイルミネーション時期にやや上昇し、クリスマスイブには10ポイント近く上昇しています。都道府県横断的な集客力という意味では、やはりクリスマス効果が非常に大きいことがわかります。

 

クリスマスイブは、オトナのエリアに若者が来ている!

最後に年代軸で見てみましょう。

データポイントが多くなってしまうため、ここでは訪問者全体に占める男女若者(10-20代)の比率に絞って比較します。表参道の若者比率にはほとんど変化が見られず、どのエリアもイルミネーション期間だけで見ると、普段とはそこまで大きな差は見られません。一方、クリスマスイブは、表参道以外の3エリアにおける若者比率が大幅に上昇しており、日別推移で見た来訪者の増加を牽引していることがわかります。

 

まとめ

○表参道のイルミネーションは街並みの一部として「ながら見」される傾向があり、それを見るためだけに訪れる人は少ないが、エリアとしての日常的な集客力を考えると、滞在時間の延長やエリア内の行動範囲拡大に寄与していることが予想される。
 
○恵比寿ガーデンプレイスやカレッタ汐留のようなイルミネーションは、一種の体験として生活者を魅了し、それを求める人たちを中心に集客効果を上げている。
 
○最も集客力があるのは、イルミネーションそのものではなく、クリスマスイブという「イベント」であり、体験型のコンテンツがある場所には、若者を中心に普段そのエリアにいない人たちも東京の外から惹きつけている。
 

2017年の予測

今年も時期的およびエリア毎の傾向は、大きく変わらないと予想しています。ただし、その伸び率やそもそものボリュームが一部のエリアでは変化することが想定されます。今回は取り上げていませんが、特定のエリアで人が増えるということは、他のエリアで減っているということです。

限られた人口に対して、複数のイルミネーションスポットが来訪者シェアを争っているため、今年の4月にオープンした GINZA SIX の影響は、地理的親和性を考えると、丸の内、また、属性では六本木のイルミネーションスポットにあるのではないでしょうか。

今後はますます各エリアに普段からいる層、またイルミネーション時期に訪れる層などの属性を理解し、それに応じたエリア毎のポジショニングを明確に打ち出していく必要があるでしょう。
 
■ロケーションを生かした広告配信についてGMO NIKKOの考え
同じクリスマスの来店訴求だとしても、地域によっては異なる攻め方が効果的です。
例えば12月頭の集客が最も多く、クリスマスイブは少ない表参道であれば、クリスマスプレゼントを買い求めるために来る人が多いことが予想されるので、12月の1ヶ月間かけて表参道に来た人に、プレゼント購入を想定した来店促進の広告を出します。
反対にカレッタ汐留のような通常時の集客は弱いですが、クリスマスイブにピークを迎えるエリアでは、短期間の出稿で当日のイベント告知や、お土産として簡単に買えるような商品をフックに来店訴求を行います。

店舗が無い場合にも「クリスマスイブに、20代で都外からの訪問者など、明らかにイルミネーション目的に来ている人」はデートなどで来ている可能性があり、近いうちにライフステージの変化を予定していたり、次のライフステージを考えるきっかけが起きている可能性があります。そのような人に対しては指輪や不動産、保険などの訴求が効果的かもしれません。
今回は検証していませんが、親子連れの状況も考慮すると、さらに違った施策が考えられるかもしれません。

今回はクリスマスという短期的なイベントにスポットをあてましたが、例えば電子書籍などの漫画を扱うビジネスの場合、美少女系なら秋葉原にいる人、サブカル系なら中野、女性向けなら池袋といったように、商材の内容によって変化する場合もあります。
また美容や健康食品などの場合、ただ30代後半~50代など年齢で絞るよりも「オフィス街に22時以降によくいる人は残業続きなのではないか」という仮説の元、ストレス対策や肌荒れ対策の商品を訴求したり、「居酒屋によくいる人は高カロリーな食事と飲酒を繰り返しているのではないか」という仮説の元、ダイエットや二日酔い対策の商品を訴求するなど、特定のエリアでなくてもターゲティング可能です。

そしてこのようなターゲティングは通常のターゲティングでは難しく、ロケーションターゲティングならではの配信方法です。発想次第では、新規ユーザーの開拓につながる配信方法ですので、店舗が無いからと言って無下にせず、一度検討してみても面白いのではないでしょうか。

レポートのデータについて

対象期間①(全体)
・2016年10月17日〜2016年12月25日

対象期間②(クリスマスイブとの比較の場合)
・イルミネーション前:10/17-10/31
・イルミネーション期間:11/1-12/23

サンプル数(全対象期間の累計)
・アクアシティお台場:338,852人
・表参道:292,286人
・恵比寿ガーデンプレイス:97,373人
・カレッタ汐留:8,562人

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ライター:椛島 健太


メディアマーケティング本部メディアグループ所属。
インターネット広告のコンサルティング業務、媒体社での営業経験を積み、2016年にGMO NIKKOへ入社。
運用者視点、媒体社視点を持ち、サービスの見極めを行う。

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