アドテック東京 2017(前編)出展ブースと1日目のカンファレンス

2017/10/25

アドテック東京 2017が10月17日と18日の2日間で開催されました。今年も数多くのブースが出展するなか、出展が増えた企業としてはbotツールや動画制作、ヒートマップツール、流入分析など、コンテンツの拡充と計測に関する出展が多いなと感じました。

出展ブースについてはこちら

カンファレンスにいくつか参加させていただいたので、その内容を紹介します。

【オンライン動画によるブランドリフト(D-1カンファレンス)】

■登壇者
株式会社オプト 中野 宜幸氏
C Channel株式会社 森川 亮氏
ビー・エム・ダブリュー株式会社 新井 一慶氏
AppLift Japan K.K 藤田 祐輔氏

動画が流行ると言われながらも、本格的に導入できている企業は少ないのではないでしょうか。既に取り組んでいる企業は、何を指標にどのような取り組みをしているか聞いてきました。

■各社の現在の動画に対する取り組みについて

Q:企業は動画にどんな問題を抱え、どの指標をリフトアップしたいのか
新井氏:BMWではユーザーの商品購入までの行動が変わってきています。今までは、購入するまでに、ディーラーに6~7回訪問していましたが、現在はWEBで情報収集しているため、2~3回の訪問で購入されるケースが増えています。ブランド認知としては既に十分にあるので、リフトしたいポイントは、いかにディーラーに来てもらえるかという点です。

森川氏:C channelに出稿している広告主は、ターゲットの高年齢化に課題を持ち、若い人にリーチするために利用されるケースがあります。購入目的での配信手法としては、動画コマースを使うケースが多いです。今の若年層は嘘が嫌いなので、きっちり事実を伝えることが大切です。伝え方ですが、説明するよりも映像で前後比較を行うと効果的です。見せ方としてはクリッパー(動画を投稿する人)はモデルよりも、親近感のある方のほうが影響が大きかったりします。

藤田氏:App Liftは、購入を目的として活用されることの多い商材ですが、最近ではロイヤリティを高める目的として利用されるケースが増えてきています。大手ゲーム会社は利用者のデータを分析し、人気なキャラクターの登場回数等をコントロールしています。

■クリエイティブでどう伝えるか

中野氏:生活者への情報伝達の方法に変化が起こっています。
今まではTV CMを活用して一方的な情報伝達でしたが、SNSの登場以降、消費者同士での情報伝達が行われるため、消費者とのコミュニケーション方法が変わってきました。

■生活者への情報伝達の変化

■ブランドリフト効果


中野氏:動画を視聴することでブランド認知度が上昇することが分かってきています。
またインタラクティブな動画フォーマットほど、ブランドリフトが大きくなることも分かってきています。

■ブランドリフト効果(通常動画とインタラクティブ動画)

■メッセージングフォーマットについて

Q:C channelで動画について工夫していることは何か
森川氏:C Channelではシェアされる動画を研究しています。若年層はSNSとの接触時間が長いですが、全てをそのまま信じているわけではないようです。
バズる動画だけを投稿していると、頭が悪いと思われるようになってきており、今注目の動画としては、「役に立つ動画」が良いと考えています。中国、韓国においては「感動する動画」が流行っており、国によっても受け入れられる動画は異なります。
またSNSにおける動画の楽しみ方が変化してきており、今までは短時間の閲覧が多く、短時間で簡潔に情報を伝えることを重視していましたが、今は長い時間でも閲覧する傾向が出てきています。
フォーマットとしては縦型の方が、エンゲージメントが高くなりますが、価値を提供できないと、「時間を無駄にした」という感覚を強く持たれてしまうので、より消費者が見たいと思う動画を用意することが大事になっています。
TVやデジタルなど接触チャネルが異なる中で同一素材での出稿は嫌悪感を持たれてしまいます。C channelではTV CM素材を活用したフォーマットとして、クリエイティブ中段にTV CM素材を配し、その上下段に追加のクリエイティブを追加して縦型のフォーマット動画を作成するテストを実施しています。

Q:例えばBMWのような高年齢がターゲットの場合、C channelでは、どのように若年層にターゲッティングしていくと良いか
森川氏:購入者を替えるのは難しいので、例えば娘向けにアプローチし、父親の購入を促す、主婦向けに居住空間としてのアプローチを行うなども、可能性としてはあるのではないでしょうか。

■BUZZ動画について

新井氏:実はBMWがBUZZ動画の走りでした。


2001年にBranded Filmを作成し、当時900万再生を記録しました。ただ2016年に続編を実施したのですが、640万回と若干再生数としては減少してしまいました。このことから、時代の変化を感じています。TV CMとして攻撃的な動画を作成しているケースが出てきています。攻撃的に興味関心を引く動画から、刈り取りまでのシナリオを持って、配信しています。

Q:動画の価値を感じた上で、その先にあるものは何か
森川氏:今の時代はコミュニケーションの時代です。真実を伝えることが大前提です。脚色・過剰演出は嫌悪されがちになっているので、価値を感じて、製品の良さそのものをどうメッセージとするかが大切になってくると思います。

新井氏:来店に向けたブランドリフトというのに注目しています。

藤田氏:静止画と動画の広告を比べると、動画広告のほうがCTR、CVRが圧倒的に高いです。広告評価の指標としては、IMP→CPC→CPI→LTVと変化していますが、広告会社の中ではCPIのみに注力している企業も多く、目的がより明確化されるのではないでしょうか。

【カスタマージャーニーをリードするデジタル広告のKPI(B-2カンファレンス)】

■登壇者
株式会社電通 矢島 貴直氏
日本アイ・ビー・エム株式会社 岡田 明氏
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 伊藤 英夫氏
タワーレコード株式会社 前田 徹哉氏

複雑化する購買決定のメカニズムをお客様視点で考えるために、カスタマージャーニーで捉えることは大切です。お客様の行動データは、隠された購買決定の「要因」のヒントを与えてくれるものですが、データ取得についてはまだ課題が多いのが現状です。

■データ取得についてはまだ課題が多い

オフラインでの購買がメインの企業は、どのようにオンラインを評価すべきなのか。オンラインでの購買がメインの企業は、どのように進化・拡張させていくのか。人の気持ちをどう可視化するのか。などの疑問に対し、先駆けて立ち向かっている企業の話を聞いてきました。

伊藤氏:プロクター・アンド・ギャンブル(以下P&G)のビジネス課題は日用品カテゴリーの拡大、ブランド認知から購買の促進による市場シェア拡大の2点です。デジタルはこれらを達成するための重要なツールだと考えています。
P&Gのデジタルマーケティングの考え方としては、ROI偏重から、スケール、個別化と透明性の重視へ変化しています。指標としては、リーチ、マスでのパーソナライゼーション、ビューアビリティを重視しています。これらは、データ分析によって、見えてきた新たな課題です。

■デジタルKPI

伊藤氏:デジタルのKPIとしては、ビューアブルIMPの可視化、購買者数(新規・リピート)の計測、アドフラウド、ブランドセーフティ対策を見ています。
今後の課題は、透明性の強化と、メディア効果の最大化、オンライン、オフラインのデータ統合によるカスタマージャーニーの理解促進と、スケールを持ちながらのパーソナライゼーションです。
ビューアビリティ改善により、媒体者からの提案メニューのクオリティが向上しており、媒体間でのビューアビリティの改善と視認性向上のPDCAの確立ができています。

前田氏:タワーレコードでは、直近1年間に1回以上購入のあったアクティブユニークユーザー数、既存顧客の維持と育成数、育成率、新規顧客の獲得、全体の獲得数、獲得率をKPIとしています。
タワーレコードでは、9つのカテゴリーと4つのランクで顧客をクラスタリングしています。データベースの統合により、真のOne to Oneマーケティングを推進しており、売上を商品観点のみならず、顧客視点等々から可視化することで、目標設定が可能になり、有効な打ち手が設計できるようになっています。デジタル上のターゲットのセグメンテーションとして、現在は音楽カテゴリ(K-POP,クラシックなど)で分類していますが、今後はタグマーケティング(買った人の特徴からAIで分析してターゲティング)を取り入れたいと考えています。

■真のOne to Oneマーケティング

前田氏:基本的には1年間でKPIを設定していますが、長く使っている人は優良顧客として扱っていくようなマーケティングは構想中であり、長期的なLTVをみたカスタマージャーニーについては今後も考えていきたいです。

岡田氏:アイ・ビー・エム(以下IBM)ではコグニティブ・コンピューティング(AI)を活用した取り組みを行っており、自然言語、画像、音声などの非構造化データの理解を進めています。これにより、データやシグナルの分析、オフラインの情報取得など、業界のプレーヤーにとっても新たな収益機会となるのではないかと考えています。
コグニティブ・コンピューティングでは、ユーザーが喜んでいる、悲しんでいるという情報をAIが判別することができます。現状ROIが悪く、日本ではまだまだ導入が進んでいませんが、海外の某エンタメ系のアトラクションでは、喜んでいるか、驚いているかを検証し、活用しています。

Q:顧客の行動を見て分かったことは何かあるか
伊藤氏:オンライン広告は認知から購買までのパスが短くなるという認識で、新商品の認知拡大目的で広告を実施しました。直接ECサイトへ誘導を実施したが、見事に失敗しました。顧客の心理状態は重要で、ブランドメッセージを伝えるというジャーニーは非常に重要だということを感じました。

前田氏:オフラインとオンラインを併用するお客様が非常に増えています。オンラインの客単価は16,000円ですが、オンラインとオフラインの併用購買客単価は64,000円となっており、オフラインとオンラインとの相乗効果で上がっているのが分かりました。オフラインとオンラインの連携は欠かせないものになってきています。

Q:直近のWEB顧客変化はあるか
伊藤氏:定期購買機能が増えてきています。ロイヤルカスタマーを逃さないためにも、さらなる顧客データとのCRM的な連携は不可欠になってきていると考えています。

Q:カスタマージャーニーの変化に影響を与えるであろう、スマートスピーカーに対策を行っているか。
前田氏:ストリーミングが一層増えてきています。Spotifyで聞いて買ってくれるユーザーもいるので、シェアリングエコノミーの発想が重要になってくると思います。

伊藤氏:ついていかないといけないという意識はあります。

岡田氏:タッチポイントが多く、データも取れるので、非常に良いサービスだと思います。

矢島氏:広告代理店としてのアクションを考え、お客様の変化についていかないといけないと感じています。広告だけの理解だけでは足りないので、色々とやっていく必要があると感じています。

後編に続く

photo

ライター:椛島 健太


メディアマーケティング本部メディアグループ所属。
インターネット広告のコンサルティング業務、媒体社での営業経験を積み、2016年にGMO NIKKOへ入社。
運用者視点、媒体社視点を持ち、サービスの見極めを行う。

Contents

ico人気記事