アドテック神戸 2017公式セッションレポートまとめ

2017/8/8

■デジタルコミュニケーションの最新トレンド

「アドテック神戸 2017」が7月20日(木)、KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)で行われました。アドテックでは新しい技術や新たな広告配信フォーマットなどに注目が当たることが多いですが、今回は商品(モノ)を顧客(ヒト)に伝えるためには何(コト)をすれば良いか、というコミュニケーション事例が中心に語られていました。その中で特に気になったものを紹介します。

■既にブランド力のある企業が何を守り、何を変えていくのか

タイトル:355年の事業継承と共に行う“市場継承”。古いものを壊し、創造するブランド戦略~課題とデジタルコミュニケーションへの挑戦~
登壇者:辰馬本家酒造株式会社 辰馬健仁氏

辰馬本家酒造は355年の歴史があり、メイン商材の白鹿のブランド認知度50%を誇る酒造メーカーです。日本酒の消費量・製造量ともにここ30年間で60%以上減っており、アルコール内での年間消費シェアも6.4%まで減っている状況がありました。
そこで女性など新たな顧客を掘り起こすべく、「脱・白鹿!」と題して、SNS映えするお酒というデジタルコミュニケーションのテーマを掲げました。ただブランドとして変えてはいけない部分として①商品のブランド力、②安心感、③お客様を喜ばす、④白鹿らしい味、は守り「白鹿は変えず、表現を変える」ことを大切に考えて様々な展開を行いました。例えば、白鹿らしい味を伝えつつ、女性にも楽しんでもらう手段として、日本酒スイーツの展開や、外で楽しむ時に飲むお酒という形で飲み方の提案などです。
メーカーとしての情報発信だけでなく、商品を軸にどのようなコミュニケーション表現にするかが顧客に伝わるためには大切です。

■モノ軸からコト軸へコミュニケーションの変化

タイトル:デジタル広告の有効性をどう導くか
登壇者:
TwitterJapan株式会社 味澤将弘氏
ライオン株式会社 小和田みどり氏

メディアの増加やSNSによるコミュニケーションの普及により、デジタルの持つ役割は変化しています。それに伴い、マスメディア中心の頃とは、企業の伝えたいメッセージも変化してきています。
以前のライオンの広告は、モノ軸での機能中心の訴求であり、メーカー側が言いたいことをひたすら言う広告が一般的でした。ただ現在ではそのような一方通行のコミュニケーションでは顧客に届きにくくなっており、共感してもらえません。例えばですが、「アクロンが新しくなった」というメッセージを伝えたい場合、ただその事実を伝えるのではなく、「雑誌に載っていたおしゃれな服を買ったけど、どう洗えばよいか分からない」という悩みを持った読者が検索をした時に、ライオンの記事を見つけ、読んでもらうことで自然とアクロンの商品理解促進が進みます。このようにストーリーに由来したコミュニケーションが共感を生み、モノ軸からコト軸への変化すると考えています。
ライオンでは最初からメディアプランを考えるのではなく、プロモーションを行う際、メーカー内でまず課題整理をし、ストーリーを構築した上で、代理店と広告出稿について考えます。企業としてまず、判断基準を一定の形で明確化していくことで、デジタル広告をさらに効率的に使っていくことができると考えています。

■押しつけるではなく、惹きつけるコミュニケーション設計

タイトル:消費者を引き付けるデジタルプロモーション
登壇者:
ダイドードリンコ株式会社 堀井昇平氏
サンスター株式会社 児島仁視氏
フリークアウト株式会社 澤田洋平氏
株式会社クラウドイノベーション 河野矢薫氏
スマートニュース株式会社 菅原健一氏

SNSが普及し個人の発信力が強まる昨今、企業が伝えたいメッセージと消費者のニーズとのバランスは、マーケターが抱える大きな課題での一つです。その課題に対し、様々な切り口で意見を交わしました。

議題① クリエイティブ表現

クリエイティブの方針を変換しCPAはそのままで、獲得数を伸ばすことができました。いかにメディアの特徴に寄り添えるかを考え、クリエイティブを作成しました。ポイントとしては、一般のユーザー投稿を意識し、テキストは多めにするなどです。結果として、ユーザーからのエンゲージも高まり、配信量も増加しました。さらに、実際やってみて分かったことですが、ユーザーの投稿をそのまま広告配信に活用しても効果が良かったです。
ただ広告配信対象者によっても適したクリエイティブは異なり、リターゲティングの場合、一般人の投稿に寄せるのではなく、価格訴求を行ったほうが獲得が伸びる傾向にあり、通常バナーの方が効果が良いケースが多いです。

議題② メディアプランの必要性

広告主と広告代理店とのやり取りの中で当たり前に作られているメディアプランですが、消費者のことを考えたときにメディアプランは必要なのかについて、議論しました。必要派は数値の確認用としてメディアプランが必要なのではなく、広告目的の共通認識を持つために必要だという意見を持っていました。一方反対派は、メディアプランの前にコミュニケーションプランが必要という考えを持っており、その上で、企業がターゲットとしているユーザーの含有数を把握し、プランの選定をしていきたいという考えを持っていました。両者とも、どういうコミュニケーションを取るかが大切で、メディアプランで数値を確認することが重要ではない点については共通しています。

議題③ 失敗例

成功事例を元に、再度それを活かしたキャンペーンを実施したが、思ったような結果が出ませんでした。数値の予測などを行う上で、実績があるものは読みやすく、必要な作業も分かっているため、広告主、広告代理店双方にメリットがあります。ただ新しさがないと顧客に与えるインパクトも弱まってしまうため、常に新しいものを考えて、創り上げていく必要があります。

■まとめ

デジタルコミュニケーションの選択肢は多様化していますが、商品(モノ)を顧客(ヒト)に伝えるためには何(コト)をすれば良いかという部分については変わらず、これからも考え続けていく必要があると感じました。また今までは企業の伝えたいメッセージに合わせて広告代理店がメディアプランを考えるというように役割が分かれていましたが、今後はコミュニケーションプランというより一体化された施策が求められるようになるため、広告主と広告代理店のコミュニケーションについても、従来のものを踏襲していくだけではなく、見直していく必要があるのではないかと感じました。

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ライター:藤本 崇司


GMO NIKKO株式会社 広告事業本部 西日本グループ所属。
2015年に中途社員として入社し、営業としてエンタメ領域のクライアントを中心に担当し事業拡大に貢献。
2016年10月より西日本支社の立ち上げの為、大阪で奮闘中の日々。

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