人とテクノロジーの共存(Vol.2)

2017/7/6

こんにちは、アド論編集部の冨岡です。
本日も、前回に引き続き「人とテクノロジーの共存」と題して、ブレインパッド社(以下BP)、GMOインターネット次世代研究室(次研)、GMO NIKKO社(NK)の3社協働PJTについてお送りします。このPJTのゴールは、広告費の最適な投資配分を導きだすモデルを作ることです。

前回の記事はこちらです。
http://ad-ron.jp/?p=11815

今回は、テスト案件のデータからどのように広告予算最適配分モデルを作成したのかについてお伝えします。

●コンサルタントの運用を支援する広告予算最適配分モデル
<どのようなモデルを作ればコンサルタントの支援ができるか>
広告配信の結果は生き物のように絶えず変化していて、コンサルタントが臨機応変に運用をおこなっています。MARS Analyticsの膨大な運用データから媒体(広告メニュー)ごとの実績値の特徴を抽出し、様々な予算配分における広告結果をシミュレーションできれば、コンサルタントの思考に沿った複数媒体間での予算配分モデルが作成できます。
コンサルタントはCPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)、上限コストといった指標を常にウォッチしながら運用をおこなっています。もし過去実績から何の制約値も無しにシミュレーションをおこなうと、「最もCPAが小さい広告メニューに広告予算を全額投下せよ」といった現実の運用とはかけ離れた無機質な結果を算出してしまう危険性があります。コンサルタントの思考に沿って最適な予算配分をおこなうためには、様々な制約値がある中で最も獲得効率の良い予算配分を導き出すモデルが求められます。

<広告予算最適配分モデルの作成ステップ>
広告予算最適配分モデルは以下のステップで作成しました。
1.広告メニューのモデル作成
2.広告予算最適配分モデルの作成
広告予算を広告メニューごとに最適に配分するためには、各広告メニューにどれくらいの予算を投下するとどれくらいのCLやCVが獲得できるのかを予測できるモデルが必要不可欠です。各広告メニューのCLやCVがモデルから予測できれば、様々な予算におけるCLやCVをモデルでシミュレーションして、広告メニュー全体で最もCLやCVが獲得できる予算配分を探索的に求めることができます。

●広告メニューのモデル作成
<テスト案件から抽出した実績値の特徴>
基本的に、広告予算を多く投下すればするほど獲得できるCLやCVは増えていきます。このような特徴を最もシンプルなモデルで表すと、
CL(もしくはCV)  =  定数 × COST
と書けます。

(図1)  予測モデルを用いて、COSTに対するCLを予測した結果 図1の黒色の点はある案件の2014年10月から2016年9月までの2年間のCL実績値を表していて、灰色の線は上記のようなシンプルなモデルでその月の実績COSTから計算したCL予測値を表しています。このように、シンプルなモデルでもほとんどの月で実績値を予測する事は可能です。

<モデルの改良>
CLが多くなっている月(例えば 2016年3月)を良く見てみると、実績値と予測値の差(誤差)が大きくなっている事がわかります。これは、上記のシンプルなモデルが現実に合っていない形式になっている事に起因していると考えられます。広告予算を多く投下すればするほど獲得できるCLやCVは増えていくのですが、実際には予算が多くなるほどCLやCVの獲得効率が下がっていくため、いわゆる「頭打ち」の状態になります。獲得効率はCPCやCPAで確認できます。「頭打ち」の状態を上手くモデルに取り入れることができればコンサルタントの思考に沿った予測がおこなえると考え、モデルの改良をおこないました。
図1のオレンジ色の線は、検証と議論を重ねて導き出した頭打ちのモデルの結果を表しています。シンプルなモデルよりも予測精度が向上している事が見てわかるかと思います。テスト案件の「旅行」「通信販売」「エンタメ」について様々な広告メニューでシンプルなモデルと頭打ちのモデルそれぞれ、実測値との誤差を比較した結果、頭打ちのモデルがどの案件、広告メニューでも使用可能なモデルである事がわかりました。

●広告予算最適配分モデルの作成
<最適な予算配分の求め方>
広告メニューのモデルが決まったので、次はいよいよ広告予算最適配分モデルです。予算は、予め算出されるCOSTを指しているので、広告予算最適配分モデルでは、広告メニューのモデルのCOST=予算として計算を行います。 最適な予算配分を求める方法のベースはシンプルです。広告の総予算が決まっている場合に、それぞれの広告メニューのモデルに広告予算を投下し、CLやCVをシミュレーションします。広告メニューごとに求まったCLやCVを合算して、最も効率よくCLやCVを多く獲得できる予算配分を見つけます。 この時、コンサルタントが日々確認しているCPCやCPAといった様々な制約値の条件を満たすような予算配分をおこなう必要があるので、少し複雑な計算が必要になります。

<広告予算配分モデルの結果>
(図2) あるテスト案件の広告予算配分モデルの結果 図2は、あるテスト案件で、CPA最小化を目標とした場合の広告予算配分モデルの結果を示しています。青い曲線はモデルによるCVの予測結果を表し、赤い点は最適な予算配分における各広告メニューの予測CVを表しています。各広告メニューのモデルは予算を多くした時の頭打ちの効果も考慮しています。

図2の場合、
「Google_検索_一般」や「Yahoo_ディスプレイ_リマケ」の広告メニューは、さらに予算を投下すれば青い曲線に沿ってCVを獲得できるけれど、
「Google_検索_一般」や「Yahoo_ディスプレイ_リマケ」に投下するよりも、「Google_検索_ブランド」に予算を投下した方が全体としてCVを最も多く獲得でき、CPAを最小化できると予測しています。

このPJTで作成した広告予算最適配分モデルでは広告メニューのCPCやCPA、上限予算といった様々な制約値を設定することができるので、コンサルタントの思考に沿って様々な状況に合わせた予測が可能となっています。
これまで、たとえばGoogleなどの単体のメディア内での予算配分の最適化をおこなう事は既存のツールで実行可能でしたが、このPJTによって、異なるメディアを跨いだ複数媒体間の予算配分の最適化もおこなえるようになりました。

●人(運用型広告コンサルタント)とテクノロジーの予算配分はどちらが優れているのか
さて、次回以降は6月からテストしているいくつかの案件で、モデルとコンサルの精度どちらが高いのかについて内容を深堀していきたいと考えています。

●今後の連載について
こちらの記事は5本の連載としてお送りしています。
1回目:概要、出稿データ例
2回目:作ったモデルの紹介(イマココ)
3回目:モデルを使っているコンサルVS使っていないコンサルで戦ってみました①
4回目:モデルを使っているコンサルVS使っていないコンサルで戦ってみました②
5回目:テクノロジーの広告活用の未来についての対談(BP、次研、NK)

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ライター:アド論 編集部


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