アドベリフィケーション、ビューアブル計測、アドフラウド対策が、なぜ必要とされているのか。<MOAT×GMO NIKKO対談>

2017/3/29

アドベリフィケーションによるインターネット広告におけるブランド保護が注目されております。米国において活躍するMOAT社のアジア担当(取材当時)シャオ様をお迎えし、日本市場における広がり方を弊社コンサルタントと対談形式で話していただきました。

メディアを立ち上げるハードルが下がったことで、広告収益を得るためにフェイクニュースを流し、トラフィックを大量に集める人も出てきました。そのアテンションが良いものか悪いものか判断するためにMOATでは3つの段階に分けて可視化しています。そしてその結果を元にして広告配信のチューニングを行います。

アドベリフィケーション、ビューアブル計測、アドフラウド対策に対するソリューションを提供する、MOAT社のシャオ氏との対談記事です。

(以下敬称略)

■アドベリフィケーション、ビューアブル計測、アドフラウド対策が重視されている

アド論:なぜ今ビューアブル、アドベリフィケーション、アドフラウド対策が重視されているのか。グローバルに見た業界動向を教えてください。

シャオ:インターネットメディアは、TVや新聞など、これまでの伝統的なメディアと違って明確に管理されているわけではありません。TVや新聞は、広告について完全に管理されております。

インターネットは、ユーザーが作ったメディアもあり、メディアを立ち上げるハードルがとても低い仕組みです。

例えば、アメリカ大統領選でも話題にあがったとおり、フェイクニュースを発信するものもメディアとして存在し、バズを生み出し、世論を動かしうるものとして存在します。

谷本:そもそもフェイク記事を発信するメディアは何の目的で存在していることが多いのですか?フェイクニュースを流し、トラフィックを大量に集め、広告収益を得るためにやっている?

シャオ:それもあります。あとは世論を動かすためにも存在しているといわれています。結局、元凶は、データとユーザーの思考・行動を追えるようになったので、ユーザーが、どのような記事を好むのかが分かり、ユーザー嗜好に合わせた記事を作成するようになったわけです。アテンションを集めることができれば、それが良い目的・悪い目的に使うケースが分かれてきた。その中で、広告主は大量に発生する広告インプレッションの良し悪しをどう見極めるのか。また、クリックボットのような悪いボットを作るような個人や組織もいます。

この2つの問題を対処するために、必要な視点になるキーワードとして「アドフラウド」「ビューアビリティー」「アドベリフィケーション」です。そして「ブランドセーフティー」をどのように対策するかが大きな関心ごとになっています。

■アドベリフィケーション、ビューアブル計測、アドフラウド対策が重視されている

アド論:昨今、広告主はインターネット広告にもアテンション効果の計測、効果を証明するための取組みが注目を集めていますが、その指標はどのようなものでしょうか。

シャオ:3つの段階があります。

まず第1に、当然ながらアテンション効果は、インターネットメディアだけにとどまらず、どのメディアからも影響があります。

その中でインターネット広告において、アテンション効果を獲得するためには、まずそもそも「人に広告を見てもらう」ことです。

第2に「見られる位置」に広告を配信することです。

この2つのステップがあってはじめて、ユーザーのアテンション効果を確認することができるわけです。

最後3番目は、自社のブランドに適したコンテンツに、適切に広告が配信されているのか。

例えば、交通事故関連の記事に、自動車メーカーの広告を出稿することは適していないですよね。

これらの3つの段階において、保証された状態で、自社の広告を配信することが重要です。

また、これら3つの段階は、まだ現状自体を理解できていない広告主が多いので、

まず、計測ツールを導入した上で、自社の広告配信がどのような状況にあるのか、可視化することが大事です。

■アドベリフィケーションの可視化によるチューニングは?

アド論:ツールを導入し、アドベリフィケーションなどを可視化した後、どのようにチューニングするのでしょうか。

平野:MOATは配信先ドメイン単位で、これら3つの指標を見ることができるので、望ましくない配信については、除外設定するなど、改善していく配信マネジメントが可能となります。

また、媒体ごとに、ブランドセーフティー機能が実装されていますが、それがどの程度精度が高いか、についても確認できます。

そもそも目を覆いたくなるほどの結果であれば、対象の媒体自体の出稿継続可否を即時判断し、停止します。

北  :それは、配信後で把握することができ、コンサルタントとしては、何かもどかしいなと思っていました。本来であれば配信前に把握することが理想であり、なるべく少ない表示回数で計測し、チューニングしていくことが理想ですよね。

シャオ:Pre-Bitなどプログラマティックにおけるテノロジーは進化しており、配信前に事前に把握、計測する技術も発達してきているので、その技術進化によって、理想を実現していきます。

谷本 :それはDSPなど、配信事業側で対応していかなければならないことですよね?

シャオ:はい。それぞれの広告配信事業側(媒体やアドネットワーク、DSPベンダー)は、トランスペランシー(透明性)を高め、情報開示しなければならない、という要求は高まっています。

そのために最近では、PMP(プライベートマーケットプレイス)による買い付け方法も盛り上がっています。

ただまだ完全ではありませんが、今まで見ることができていなかった重要な指標を確認することができていることは、大きいですよね。

次のステップにあることとしては、これまで媒体が開示する数字が基本的には正しいとされていますが、第三者(3rdパーティー)の立場として独立系のベンダーによる計測が、広告主側への課金対象とするケースも出てきております。

平野 :その場合、独立系ベンダーにも信頼性が担保されていないといけないわけですよね?

シャオ:そうです。アメリカの場合は、MRCが仕切っている4A,ANA,IAB,DCNの団体を束ねて、業界のガイドライン・レピュテーション(評価)方法を作成して、それにあったベンダーが認定をもらう。その認定を受けているベンダーだと、信頼が担保されます。

また、一度認定を受けて終わりというわけではなく、定期的に審査機関からチェックが入ります。

■アドベリフィケーション、ビューアブル計測とダイレクトレスポンス系広告の関係性

アド論:ダイレクトレスポンス系の広告に対して、アドベリフィケーション・ビューアブル(Viewable)の指標がどう当てはまるのか?

北  :現状は広告の配信先において、ダイレクトレスポンス系の効果(CPA/ROAS)があえば良し、とされることが現状多いとは思います。明らかに配信面との相性が悪いときには除外対応をする程度でしょうか。ただ、この判断基準のままでよいのか?でいえば、それは違います。

また日本の場合、CPC課金で配信している媒体が多いため、無駄なインプレッションがあっても、クリックさえされなければ、広告課金ないので問題視しない、という認識が多いのではないか、と思います

谷本 :ブランドセーフティーの観点で言うと、目も当てられないですよね。

北  :はい、直近の成果だけを意識しすぎると、担当者様としては、とにかく効率重視で多少は目をつぶる、気にしていないという考えをお持ちの方もいるかもしれないです。

ただ、今の話は獲得効率重視で数字を追っている部署で、ブランディング・マーケティングの部署の方と話すと、気にされているかは全然違う考えだと思いますし、ブランドを育て、長期的なマーケティング効果を考えれば、近視眼的な取組みについては、エージェンシーの立場として、是正する取組み、提言をするようにしております。

平野 :広告主の部署が別れているのは、日本企業で多いケースですけど、海外の企業ではいかがですか。

シャオ:基本的に海外は、それぞれの部署をみているCMOの責任となります。

北  :日本ではあまり、CMOのポジションはないケースが多いですよね。

シャオ:大きな組織になると、CBO(Chief Branding Officer)というポジションもあります。その部署にデジタル広告も、オフラインメディアの広告も全て管轄が含まれております。

谷本 :先日、海外であったカンファレンスの中で、P&GのCBO(Chief Brand Officer)が登壇されました基調講演(iab リーダーシップ ミーティング)が、凄い評判を呼びました。業界的には大きなトピックでしたね。P&Gのマーケティングトップがデジタルのカンファレンスに登壇し、ブランドセーフに対する強い要望を発言されていました。

シャオ:業界に対して非常に大きなインパクトを与えております。広告主の立場をわかっているCBOが、「もう待てない」というメッセージだったのではないかと思っております。

というのは、本来はメディアが自社メディアの良い環境(透明性・ブランドセーフティーなど)を提示するべきなのに、広告主が自社のブランド構築・マーケティング以外のところで、媒体のクオリティを考えないといけないという状況です。

広告主がお金を払うのは一定の基準を満たした広告表示のみで、精査は独立した組織や計測ベンダーのものを採用する、という方法になってきます。

例えば、アメリカンフットボールのチームごとにタッチダウンのラインの位置が異なっていたら試合にならないですよね。

MRCの基準を正とし、広告課金基準を決めることを広告主から宣言していった内容となっていました。とても示唆に富むキーノートプレゼンでした。そのキーノートがあったと、実際に問い合わせが増えましたね(笑)。

谷本:企業のマーケティングや、プロモーション・販売促進を担当する人としては、直近の成果数の増加・コスト効率を求めるというのは凄くわかりますが、長期的な収益力を考えたとき、ブランドリフトの観点は、エージェンシーにとっても、媒体社にとっても、求められる価値指標となってくるでしょうね。

その前提があった上で、成果数値・コスト効率の話ができないと、広告主としても、その会社に広告予算をあずけられない、インターネット広告への予算シフトに対しても、正しい意思決定ができない、という状況に陥ると危惧します。

シャオ:広告主としてはブランドが一番大事で、それに紐付くユーザー・ユーザーコミュニケーションをどのように作っていくのかということを考えていく。特にデジタル分野に関しては、これから大事になってきますね。

谷本 :北の場合は、獲得効率を加味した上で、視認率・ブランドセーフティーなどを組み合わせる取組みは既に実行していますか?

北  :そうですね。今でも単純な獲得効率だけを考えるのではなく、プロモーションの目的に合わせて指標を変えたりしております。まだこれからかなとは思っております。

広告主様としても、感覚的に「良い面」と「良いターゲットユーザー」に広告を出稿して、獲得効率が良いといのが一番と思っているはず。

谷本:なるほど、現状の日本ではまだそのバランスが難しいのかもしれないですね。

もしかしたら今の状況って雑多なメディアが多く配信ボリュームが大きく減ってしまうかもしれないですね。

シャオ:先程のキーノートの内容にもありましたが、バイサイド・サプライサイド・エージェンシー・テクノロジーベンダー全ての立場の企業が、「ビューアビリティー」「ヒューマン・トラフィック」「ブランドセーフティー」という、ベーシックな指標として、認識する必要があると思います。

このベースを共通認識として、デジタルマーケティングのビジネスを築いていけたらと思っております。

北:日本だとYahoo!という巨大なメディアがあるので、そこの指標が測れないのが障壁になっていた部分もあると思うのですが、最近のSizmikによる計測が開始されると変わってくるのかなと思います。

シャオ:そうですね。また最近日本でもIABの立ち上げがありYahoo!社も参加されているので、国際ルールに則ったルール作りを期待しております。

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ライター:平野 駿


GMO NIKKO株式会社 コンサルティング本部 ストラテジック部所属。
法政大学 国際文化学部卒業。新卒としてGMOアドパートナーズ株式会社へ入社。
SEO・SEMの営業を経て、現在はディスプレイ広告の運用、
分析、改善施策の提案などの業務に従事。

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