AI×スマホ×生命保険が実現する未来 ~ ライフネット生命主催 スマホ新サービス説明会 レポート ~

2017/2/23

2017年2月10日に開催された、ライフネット生命保険株式会社が主催 サービス説明のレポート

今回の説明会は、以下の3つの構成により進行された。

1. スマホの普及・スマホサービスへの取り組みと、ライフネット生命の現状

2. 生命保険会社初・LINE上での保険相談サービス

3. 記念パネルディスカッション「AI×生命保険が実現する未来」

パネルディスカッションでは、ライフネット生命保険社長兼COOの岩瀬大輔氏、LINE上級執行役員の田端信太郎氏、森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏が登壇。

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 岩瀬大輔氏

1.スマホの普及・ライフネット生命の現状・スマホサービスへの取り組み

まずは海外でのスマホの普及に伴って拡大している成功ビジネス事例として下記サービスを挙げられた。

・UBER:本業はタクシー運転手でなくても空いた時間(例えば夕方帰宅時にどうせ車に乗っているので)で行えるエキストラな形での労働としても活用できる。

・Airbnb:部屋を持っている人が空き部屋を有効活用し、スモールビジネスオーナーになれる、新しい働き方の共有にもつながっていることが、スマホの本質的な機能と役割だとコメント。

金融・保険の分野にフォーカスしてみると、下記の企業をベンチマーク例として挙げた。

・Oscar Health(医療保険): 2014年開業。既に評価額2,000億円超え。Googleより出資を受けている。アメリカでは日本と違い民間の保険会社が病院とのやり取り(投薬、手術)等の支払いをしているので病院で行われた全てのデータを持っている=本質的な医療の部分に直接的に関わっている点にGoogleが魅力を感じた点になる。また健康サポートも行い、病気になる可能性を減らすサービス提供も行っている。

・Lemonade(家財保険):チャットボットを活用して安い保険料を提供。AIエンジンを使い、3秒で請求から査定支払を行う、世界記録を樹立。従来の保険の概念を変えている。

・Zhongan(モバイル損保):中国最大ネット企業のアリババ、テンセントが出資。初年度で6.3億元の契約獲得。成功要因はアリババ、テンセントのEコマース関連のB2B向け市場の成長に伴い規模を拡大させている。

ここでライフネット生命保険の現状について説明があり、2013年はPCが8割だったが、現状は5割近くがスマホからの申込になっている。

近年のライフネット生命保険のスマホサービスへの取り組みでは、下記が挙げられた。

・昨年12月からペーパーレス申込サービス「スマ速」がスタート。auとも連携。

現状、申込から支払いの請求周りも全てスマホで完結できるのはライフネット生命が業界初といえます。最短で当日契約成立も可能になっており、前術させていただいた海外の事例に近いものができる。

・昨年3月から業界初で医療保険の給付、請求手続きがオンラインで完結。保険料は最大5割安くなり、支払は従来30日かかっていたのに3日で着金するようになったことは画期的。

2. 生命保険会社初・LINE上での保険相談サービス

・生命保険会社初、LINE保険相談サービス

~チャットボットを活用し自動応答×有人対応のハイブリッド型に。

導入経緯は アンケート調査結果で生活者が希望する相談チャネルは①メッセージングアプリ、②Webチャット、③ロボットの自動回答という回答があった。特に接点が少ないと元々課題としていた20代30代の若年層はこの傾向が顕著であった。

そこで2016年4月~フェーズを2段階に分けて、若年層への接点構築のため、LINEをプラットフォームとしてビジネスコネクトを活用した保険相談サービスを開始。

【フェーズ1】

・保険相談の有人サポート。

【フェーズ2】

・フェーズ1の課題で保険の相談といっても何を相談していいのかわからないという声があり、保険に対する興味を持ってもらえるような仕掛け、機能追加が課題と感じた。

・そこでチャットボット機能を取り入れ自動応答でのコミュニケーションをメインとして必要に応じて有人サポートに切り替える機能を取り入れた。有人サポートではそれ以前のやり取りは引き継がれているのでスムーズなやり取りが可能。また友人とのカジュアルなやり取りをめざす。

・Facebook Messengerでも同じ機能を提供。

表面的に変わっている部分と 本質的に人間の生活行動まで含めて変わっていく部分があるのではないかとのコメントもあった。

3.記念パネルディスカッション「AI×生命保険が実現する未来」

LINE株式会社 上級執行役員 田端信太郎氏

森・濱田松本法律事務所 増島雅和氏

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役 岩瀬大輔氏

・まずは 前半の講演の感想、ご自身のビジネス等 フリートークが展開された。(以下敬称略)

田端:

スマホがある前提の世の中、あるいはビジネス、生活、いろいろなものがこれから変わっていくのではないかと思っています。

例えばアメリカでは、スターバックスでは10人から20人が並んでいたりするのですが、そこに行って20分待つのではなく、いつものスタバの手前で、あらかじめアプリから注文決裁をしておくと、あとはカウンターに行って受け取るだけですよね。画期的に、早いわけです。

そういったところで考えるといろんな意味で、手元に非常に汎用的なコンピューターの端末が常時接続できているということを前提とした世の中でこれから、まだ変わっていくべき、変わっていくであろうものが、どんどん増えていくんだろうなと思っています。

岩瀬:

しかも、アメリカ、中国に行くと、スマホの普及がかなり進んでいるので、日本でのスマホの話と、ちょっと違いますよね。

田端:

一つ大きいことは、これまでのスマホ決裁というと、キャリア、Apple、Googleの決算代行だと30パーセントぐらいマージンがあり これでは原価がないデジタルコンテンツでしか、事実上無理でした。これが、クレジットカードの料率水準より下がると、一気に進むのではないかと思います。

・生命保険が今後どのように変わっていくと思われますか?

田端:

先程の話を、もっと補助線を引っ張っていくと、今、AIの話以外にIoTの話もあります。例えば、LINEでは来春から、キリンさんの自販機とLINEのアカウントが連携し、15本買うと1本もらえるという仕組みを実施します。

保険の場合は 例えば、生命保険会社さんがスマートウオッチとスマートヘルスメーターと契約を紐付けて配り、例えば、1日1万歩以上歩いている人は保険料を安くするなどもいいかもしれないですね。実現可能かどうかは別として いろんなことが起こりそうだなっていう気がしております。

岩瀬:

増島先生は「フィンテックの法律」という本も出版されており、いろんな案件を見ていらしたと思いますので 所感を教えてください。

増島:

そうですね。まず、金融ビジネスっていう部分で考えたときに、まず大元に信用がないと金融ビジネスは成り立ちません。ではその信用は、どうやってつけるかというと、事務処理が正確に行われるということがとても大事になります。正確さは最低ラインで、そこにITを使うと早さも加わります。

もう一つは、イノベーションっていう観点になりますが、ユーザーが保険に入る動機は生命保険、医療保険であれば、健康でありたい、むしろお金を払わない状態になっていたいっていう気持ちが強い人ほど、そうなったときに、どうしたらいいだろうっていうことを考えて保険に入るっていうことだと思います。その意味で、保険のライバルというのは、他の保険会社ではなくって、保険以外のビジネスで同じニーズですよね。

岩瀬:

ありがとうございます。最近見た中で、スマホでの先端的な取り組みとして、これ凄いなってものをお伺いしたいと思います。

私は、上海で、テンセントの関連の会社と話しているときに、コンシューマーファイナンスの会社で、融資の与信の仕組みに感心しました。ソーシャルメディア上やいろいろなデータを組み合わせて、スマホで借金の審査を依頼したら、5秒以内で振り込まれるという なかなか日本では見られないので、面白いなって思っていますね。

田端:

Uberで一番すごいと思っているのは、ダイナミックプライシングですよね。例えば、夕方にスコールがあったりすると、普通のタクシー料金の3倍はいくんですよ。Uberのドライバーで、もしスコールが来たら、慌てて車乗っていくわけですよ、これ、普段より3倍稼げるわけですから。経済学で、なんでインフレとかは良くないかっていうと、メニューコストといって、世の中の価格を書き換えるコストって、社会コストが必ず掛かりますよね。Uberの場合、何が画期的かというと、瞬間的にタクシー初乗りが3000円になってもいいし、空いていたら100円でもいいし、それによって、今までだったらタクシードライバーにならなかった人々が、車が空いているんだったら乗ろうかってなるっていうことになります。スマホは、料金を本当にあるべき水準に、随時書き換えていくっていうこと自体が世の中全体でもっとやりやすくなる話になると思います。

岩瀬:

これはマクロで見たとき、総需要が増えるのか、という疑問があり、効率化されている部分と今まで使わなかった人が使うことで需要が増えている部分とプラスマイナスはゼロになると思います。

田端:

おっしゃるとおりで、需要と供給次第では最低賃金を下回る可能性があります。お互い供給者、消費者の双方になることになりますし。

岩瀬:

今後、生命保険、医療保険の分野で、LINEないし、スマホを使ったもので例えば、5年後、10年後、どんなものが、展望されると思いますか?

 

増島:

はい。イノベーションの伝播でいきますと、今、メッセージが届いているのは、本当に入り口の人たちしかいないですが、究極的には、ご高齢者の方含めより多くの世代に届ける必要があります。LINEは、すごくいいポジションにあって、いろんな人たちが使っているというプラットフォームになっているので、このプラットフォームから何かができるっていうのは、まさに、金融×LINEみたいなところで生まれるイノベーションで非常に大事なところになってくるとおもっています。

田端:

今までだと普通に、コンタクトセンターで対応していた通話が、LINEのチャットになると、何が変わるのかというと、この後たくさんのデータがたまっていきます。
チャットの記録をチェックすると、こういうときにこういうふうに言うと安心されて、その後入会しやすくなる、みたいな部分を、いわゆるテキストファイリングをどんどんしていき、ベストプラクティスを再現するAIがどんどん増えてくる。あるいは、コンタクトセンターに、非対応の商品の問い合わせがあり、1年後に声をカバーしたような新商品ができたときに、LINEのテキストメッセージで1年前のご要望に沿った新商品が出ました!みたいな自然なコミュニケーションを行うことが可能です。通話をかけるという部分のコミュニケーションコストがすごく高かった部分の摩擦係数が減っていくことでうまくいくことが、LINEとして5年、10年後に向けてやっていきたい部分となります。

 岩瀬:

ずばり、LINE×AIで既存の戦略店の営業職員の方のトップ層は無理だとして、例えば、7割ぐらいまでのアベレージ層の方に勝つことってできますかね。

その人間をどこまで置き換えられるか議論はあるのですが、やはり人間の仕事をよりリッチにするために効率的により品質高くするために使うっていう、ハイブリッドな形が理想と思っております。

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ライター:アド論 編集部


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