顔を洗う猫と予測分析のお話

2016/10/6

■観天望気(かんてんぼうき)という言葉をご存知ですか?

観天望気とは、天気に関することわざや言い伝えのようなもので、自然現象や生物の行動の様子などから天気を予想することです。古来より海や山で仕事をする人たちが長年の経験によって発見し、今日まで受け継がれてきました。

・猫が顔を洗うと雨になる
・きれいな夕焼けの次の日は晴れる
・燕が低く飛ぶと雨になる
・蜘蛛が巣を張ると次の日は晴れる
・ミミズが土の中から這い出てきたら大雨になる
・茶碗のご飯粒がきれいに取れると雨になる

・・・などなど。
皆さんも聞いたことがあるものがいくつかあるのではないでしょうか。

漁業や林業に携わる人たちは、今でも海や山の急激な天候の変化を予測する天気予報の補完手段として観天望気を役立てています。

また、観天望気の中には湿度や雲の動きなどから関係性や理由を説明できるものも多くあります。

例えば「猫が顔を洗うと雨になる」は、雨が降る前は湿度が高くなるため、猫は大事なセンサーであるひげや眉の触毛に湿気がつくのを気にして顔を洗うような仕草をするのではないかと言われています。

■因果関係と共通要因

それでは、「猫が顔を洗うこと」と「雨が降ること」に因果関係はあるのでしょうか?

因果関係とは「原因と結果の関係」のことです。
Aが原因でBという結果になる場合、「AとBには因果関係がある」といえます。

ここでもう一度「猫が顔を洗うと雨が降る」の関係をおさらいしてみましょう。

このようにAとB、2つの事象の間に因果関係はなく「共通要因(C)」が存在していることがわかります。

つまり、雨を降らすのと同じ要因によって猫が顔を洗っているということです。

それでは、「時間の流れ」という要素を入れて、もう少しAとBの関係を掘り下げてみましょう。

このように、時系列ではAの現象が先にあってBの現象が起こっています。ただそれは「雨雲が近づく」という共通要因があるためで、実はそこにあるのは逆向きの因果関係。つまり、猫が顔を洗う仕草をするから雨が降るのではなく、(雨雲が近づいて)雨が降るから猫が顔を洗う仕草をする、ということなのです。

猫が顔を洗うような仕草をするのは、湿気以外にも様々な要因があります。ひげについた汚れや臭いを取る、何か失敗した時の照れ隠し、ストレスなどなど。
もし、猫が顔を洗うたびに雨が降っていたら、世界は毎日雨になってしまいますよね。

■因果関係と予測分析

現在も伝わっている有名な観天望気の中には、実はこのパターンにあてはまるものがとても多いのですが、もちろんこれは観天望気そのものを否定しているわけではありません。そこに因果関係がなくても、共通要因や逆の因果関係によって相関は強いので天気予報の補完手段として有効なのは間違いないでしょう。(今回はあえて分かりやすい例えとして使用しました)

但し、予測分析をするうえでは結果となる変数(目的変数)とそれを予測するための変数(説明変数)の関係性の把握はとても大切なポイントとなります。

予測分析とは、過去のデータを基に目的変数とそれを予測するのに使う説明変数の関係を見いだしモデル化することです。
よって、説明変数の選定は予測モデルのクオリティを大きく左右する重要な作業といっても決して言い過ぎではありません。

もちろん、必ずしも説明変数→目的変数の向きで因果関係がある必要はありませんが、共通要因となる変数はあるのか?逆向きの因果関係ではないのか?単なる偶然の相関関係なのか?時系列の関係性はどうなっているのか?など、変数同士の関係をしっかり見極めることがとても大切なのです。

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ライター:神津 洋幸


ストラテジックプランナー、リサーチャー。 Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。

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